逆転オセロニア 旅路の風 | 第四章 幻想異界 白の塔
果汁100%のコーラ

【2】別れと出会いと白の塔

メフィストフェレスの野望を打ち破った後、白の大地に入った四人は、ゲヘナを後にして白の大地にたどり着き、ナーガ王国の近くまで来ていた。 先頭で子ども背負いながら歩いている灰色の髪に腰に光り輝く剣を掛けている女性は、ヘルヴォルだった。 その後ろにいるのは、中性的な顔にアザのある青年で名前は、フールという名だった。 フールの服の中がゴソゴソと動いているがそれは、フールに懐いているヘビのケリューだった。 「ナーガ王国ね、ジェンイー師匠の故郷か。」 「ヘルヴォルさんは、訪れたことがあるんですか。」 「いいや、ないね。 ところでアルテレン君は付いてきてる?」 「ついてきているよ。」 フールの後ろで声がした。  声の主は、フードを深く被りながら不安そうなか細い声で言った。 彼は、メフィストフェレスとの戦いの際に名前はわかっているが、これまでの記憶の大半を失ってしまったのである。 アルテレンと言う名で記憶を失う前は、明るく陽気な青年だった。 今は、それを知っているのはフールぐらいだった。 そして、ヘルヴォルに背負われている少年は、マリナと呼ばれ今は、背中で眠っていた。 「それなら良かった。 ほら、ナーガ王国が見えてきたよ。」 ヘルヴォルが指差すと、傷だらけの城壁に囲まれた王国が見えた。 以前この王国には、アラミ・カラミッドと言う、白の大地に地獄を体現させた邪龍が襲来し、その時につけられた傷だった。 Now loading・・・ 「よく、戻ってきてくれました。 待っていました、フールさん。」 城の外では、三人の帰りを待ちわびた、シエ・スーミンがいた。 「王様、ただいま戻りました。」 「そうか、彼女が王様なんだね。 ところで王様、ジェンイー師匠はいますか。」 「アナタがヘルヴォルさんですか、今回、依頼を受けていただき感謝します。 ジェンイーなら、城の扉を入った右側にいます。」 ヘルヴォルは、そう言われるとお辞儀をしたあと、すぐにジェンイーのところへ走って行った。 部屋に入ると、ジェンイーはベットに座りながら、窓の外を眺めていた。 ヘルヴォルが部屋に入ると、男は振り向いた。 「ヘルヴォル、帰って来たのか、お前が依頼を受けてくれたことに感謝する。」 久々の再開にヘルヴォルは自然と笑顔になった。  「師匠!!!」 「久しぶりだったなヘルヴォル、しかし、ホーフンドのことは残念だったな。」 「でもホーフンドは、最後に私に夢を託してくれたよ。」 「そうか、その託されたものを手放すなよ。」 「手放さいわよ、彼との夢は・・・。」 「それと、その子はどうしたんだ?」 ジェンイーがヘルヴォルが背負っている少年について尋ねた。 Now loading・・・ その頃、フールがシエ・スーミンとゲヘナでの旅の話をしていると空から黒髪の白い翼を持った天使が舞い降りた。 「アナタ達が、アルテレンとフールね。」 「アナタは、ゼルエルさん!!! そうです、覚えててくれたのですね。」 ガシッ 「それよりもすぐに出発します。 準備はいいですか。」 ゼルエルは、そう言い二人を抱きかかえると突然、空に飛んで行った。 ビュッ 「うわ、いきなりですか!!! 王様、ヘルヴォルさんにありがとうございますと伝えていってください。」 フールは、下にいたシエ・スーミンに大声で言った。 「元気でね。」 シエ・スーミンは、飛び去っていく三人に手を振り見送っていた。 すると、マリナをジェンイーに預けたヘルヴォルが来た。 「あれ、フール君がいない!! どこに行ったの。」 「ヘルヴォル殿、彼からの伝言です。 ありがとうございますと・・・。」 「そうですか、またお会いしましょう。 フールさん、アルテレンさん。」 ヘルヴォルは、微笑みながら飛び去って小さくなるゼルエルを見ながら言った。 「ありがとうございます、ファヌエル様、このぬいぐるみ大切にしますので。」 「えぇ、ぜひ大切にしてください。」 すると、城の中から様々なぬいぐるみを抱えたゼルエルがファヌエルと談笑していた。 「ゼルエルさん、先ほど飛ばれて天軍に向かったのではないのですか。」 シエ・スーミンは、口元を震わせながら言った。 「王様、何を言っているのですか私は今、二人が帰ってきたと知り、ここに来ました。」  ゼルエルは、不思議そうな顔をしてそう言った。 シエ・スーミンとヘルヴォルは、表情が固まりしばらく動けなくなった。 「えっ、どういうことなの。」 ゼルエルも混乱して二人の顔を見るしかなかった。 Now loading・・・ 二人を抱えているゼルエルと思わしき者は、心の中で高笑いしていた。 「ハッハハハハ、ゼルエルめ。 貴様の計画通りにはさせないわ。 天軍の探している二人を先に、ルシファー様に捧げれば、あの方はあの澄んだ声と笑顔で。 「ありがとう、ベルゼブブ。 今宵は二人でゲヘナの星でも見るとするか。」 キャーキャー、ルシファー様の闇に光る星のような顔が見れるわ!!!  だから、絶対に天軍より先にこの二人はルシファー様に届けないと。」 ゼルエルの皮を被ったベルゼブブは、喜びのあまり表情が二人に隠しきれていなかった。 フールは、苦笑いしながら尋ねた。 「どうしたんですか、ゼルエルさん。」 「もう、この姿も飽きたわ。」 そう言われると彼女は、突然止まり二人を降ろした。 バリバリッ 二人を降ろすと、自身の皮を破って鎧を脱ぎ捨て、黄緑の髪と白紅の双角が特徴のベルゼブブが現れ、彼女は二人の前で言った。 「私の名前は、ベルゼブブ。 お前たちをルシファー様に捧げるために誘拐させたのだ。 ってあれ?」 彼女が言い終えると二人の姿は、そこにはなかった。 「逃げるよ、アルテレン。」 「待ってくれよフール君・・・。」 遠くを見ているとフールに手を引かれたアルテレンが何もない砂原を走って行った。 「まったく、手のかかる子ね。」 ベルゼブブは、助走なしでマントをなびかせながら地面を一蹴りで二人に音速を超えた速度で追いついた。 バババッ 後から、音も遅れてきた。 一瞬で二人の目の前に現れたので尻もちを着いた。 「まったく、私の話を最後まで聞きなさい。 ルシファー様に捧げると言ったけど、実際は天軍から守るためよ。 天軍は、アナタ達二人を狙っているらしいからね。」 「そうだったんですか。」 もう、逃げれないと諦めたフールは、それしか言えなかった。 「じゃあ、行くわよ。」 ベルゼブブが二人を抱え飛び上がろうとすると。 ビュン 砂原だった背景が突然変わった。 目の前には、先ほどまで遠くまで見えていた白い塔の下にいた。 「なぜ、白の塔にいるの。 誰かが空間移動魔術を使ったのか。」 「呼んでいる・・・。」 アルテレンが誰かに呼び込まれるように白の塔に入って行った。   「待って、アルテレン!!!」 フールとベルゼブブもそれに追いかけて白の塔に入って行った。 三人を招き入れた白の塔は、植物のようなものに絡まりその植物から小さな白い花がいくつも開いた。 Now loading・・・ ここは、白の塔から少し離れた天軍の拠点。 「ミカエル様、突然白の塔が突然黒く染まり小さな白い花らしきものが咲きました。」 天軍の兵士が敬礼しながらミカエルに報告していた。 その隣には、ルシファーが白の塔を眺めていた。 「ゼルエルは、入って行ったか。 だがやはり、障壁は突破できないか。」 ミカエルは、小さなアゴをさすりながら言った。 「どういうことだ、ミカエル。」 「今、白の塔周辺を覆うようにドーム状の障壁ができている。 どんな攻撃も無に返し、中の魔力成分がこの世界に存在しないもの。 あの黒く変色している大地が障壁の範囲内だ。 しかし、現在は行方不明になった天軍の兵士が白の塔を調査したときに聞こえた声がツキヨミを呼べとの報告があった。 だから、ゼルエルと一緒に最後の生き残りである月読魔術士を白の塔に入れればこの障壁を消滅するのではないかと思った。 もちろん天位議会で決定したことだが。」 「ふむ、そうか。 だが、天位議会でさえも未だにあの正体を掴めていないのか。」  「過去、現代に起こった世界に厄災を起こす、起こしたものをまとめられた書。 百災ノ書にさえ記されていないのよ。」 「そうか、ならまずは小さなところから観察をするか。 では、ミカエル質問する。 今の白の塔は何に見える。」 「なにって、黒い柱に白い花。」 「よく、見かけるものではないか。」 「もしや、星空・・・。」 「まだ、憶測だが白の塔に異変をもたらしているものは、星、もしくは宇宙に関連する者の可能性が高いのではないのか。」 「そうか、お前たち再びエデンに戻り、学者達に百災ノ書について調べ上げ、星の外も行き来できる神について調べてあげて来い。」 「ハハッ!!!」 ミカエルに天軍の天使数名は、飛び立ちエデンの方向に戻って行った。 「だが、もしかしたら百災ノ書にさえ記されていない新たな経験になるかもしれないな。 世界は、このときどのように対応するか見ものだな。」 ルシファーは、笑みを浮かべながら世界の行く末を楽しんでいるようでもあった。

ブックマーク

この作品の評価

0pt

Loading...