逆転オセロニア 旅路の風 | 第四章 幻想異界 白の塔
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【1】七罪の王

ここは、黒の大地最大の都市ゲヘナ。 そこの都市の中でも、巨大な城があった。 そこは、神に反する、人が持ちうる罪の名を冠する魔王が住まう城であった。 ダダダッ 黄緑色の長髪をなびかせながら、一人の女性が廊下を走り去って行った。 バタッ その女性は、サタンの住まう部屋に急いで入った。 「サタン、いるか!!!」 女性の目線の先には、ザクロのような赤い瞳を持ち、背には闇の空を支配する蝙蝠を連想させるような翼を生やした男がベットに寝転がっていた。 その男の名は、憤怒の罪を冠する魔王サタン。 「うーん、ベルゼちゃん。 アタシちょっと悪魔ちゃんとやりあって今、体が痛いのよ。」 ベルゼちゃんと呼ばれていたその女性は、黄緑の髪を持ち、手は、血に染まったような爪を持つ魔界の蟲の王。 暴食の罪を冠するベルゼブブだった。 「メフィストフェレスね。 あの男も厄介な相手だったんじゃないの。 このゲヘナを滅ぼそうとしたのだから。」 「まぁ、あの悪魔もこの街の秩序を守るために行った結果だったのじゃないの。」 「もしもアタシ達が同じことを繰り返したら、第二、第三のメフィストフェレスが目覚めるかもしれないわ。」 サタンは、少し震えながら言った。 「ところでアタシに何か用なの、ベルゼちゃん。」 サタンは、あれほど慌てていたベルゼブブを初めて見たので疑問に思っていた。 「そうよ、それが私が監視している天軍の近況を語ると、ルシファー様が突然エデンに向かったのよ!!!」 「えっ!!! ルシファー様がなぜ天軍のところに。 他の七罪達には、言ったの。」 彼女の思いがけないことばに一瞬息を詰まらせた。  ベルゼブブは、一度落ち着くように深呼吸して言った。 「ふぅ、いいや、幸いなことに、ベルフェゴールは、旅行で温泉に行って。 リヴァイアは、黒の大地の全海洋の監視を行っており、アスモデウスとアモンは眠りについている。」 ベルゼブブが片目をウィンクさせた。 その空気を察したのか、サタンはヤレヤレと思いながら頭を手で抑えて言った。 「そうなのそしたら良かったわ、ゲヘナはアタシに任せて、ベルゼちゃんはルシファー様を追いかけてね。」 ベルゼブブは、大好きなルシファー様を独り占めできることに内心喜んでいたが、魔王のプライドもあり、冷静を装いながら言った。 「感謝する、サタン。」 しかし、サタンから見れば誰が見ても喜んでいると思えないほど口角が上がっていた。 そこでサタンは、冗談を言った。 「でもまあいい機会じゃないのデートを楽しみなさい。」 「分かった楽しんで来る。」 彼女の真剣な笑みの前には、魔王と言えどもこれぐらいの言葉しか言えなかった。 「もう、そこは顔を赤くして照れるところでしょうが。」 Now loading・・・ 久々に訪れた地、いつぶりだろう。 あの天界の最高意思決定機関である天位議会の真実を知ってしまった以上、もうここに二度と来るはずがないだろうと男は思っていた。 男は、現在4大天使がいるエデンに訪れていた。   その男は、かつて神に最も近いと言われた4大天使を超える天使であった。 今は、神を裏切り七罪の王をしている。 傲慢の罪の名を冠する者、その名は、ルシファーである。 ルシファーがエデンの4大天使の住まう城を見つめていると。 プー、プー 足元に子供の小さなイノシシだろうか黒い毛皮で覆われた生き物が鼻を鳴らしていた。 「カリュドン、やめなさい。 ごめんなさい、天使様。」 そこに現れたのは、薄い赤髪の頭などに鳥の翼のような装飾をしている少女がそのイノシシを抱き上げた。 「別に気にしなくてもいい。 ところでミカエルという天使は、知らないか。」 少女は、笑顔でそう言った。 「ミカエル様ですね。  ちょうど良かった、天使のお兄さんも用があるんですね。 私も用がありますのでついて来てください。」 「そうか、感謝する。」 そして、ルシファーは、その子イノシシを抱えた少女の後を着いていった。 Now loading・・・ しばらく、歩いていると、少女がルシファーに話しかけてきた。 「自己紹介まだだったね。 私は、アタランテ。 エデンの森の守護をしている者です。」 「そうか、オリュンポスの者か。」 アタランテは、天軍が住まう城を眺めながら言った。 「そうなの天使様。 私は、昔捨てられて今は亡くなった師匠に育てられていたから、あまり難しいことは分からないな。」 「だが自分の目的があるのなら、それを目指せば良い。 未だに目的も持たず疑問を持つよりかは良いことである。」 その言葉にアタランテは、後ろを振り向き歩みを進めながら聞いた。 「天使様も悩むこともあるのね。 ところで名前は、何ていうの?」 「私は、ルシファー。 世界を問う者である。」 Now loading・・・ ここは、天軍の4大天使のリーダーであるミカエルのいる部屋だった。 部屋は、大量の書類が机に山のように積まれ、外は昼だというのに部屋の中は真っ暗で唯一の光りは、机にあるランプだけだった。 その天軍の長であるミカエルは、立ち上がり鬼の形相で二人を睨みつけていた。 「アタランテさん、それで彼をここに招き入れたのですか。」 「はい、困っている人を見たら助けなさいとウルさんに言われたので。 それと、すれ違う天使様も突然眠ってしまうのでこのまま向かって来ました。」 「ミカエル、別にこの子は悪くない。」 「はぁー・・・。 それもアナタもね、エデンの天軍の本拠地ぐらい、元天軍の中でも神に最も近い天使だから、覚えているだろうが!!!」 ミカエルは、近くのイスに座り頭を抱えながら言った。 「そうか、それはすまない。 エデンの作りがあまり覚えていなくて、彼女がいなければ今頃迷っていただろう。」 「もう、分かった。 アタランテは、サンプルを提出して、帰っていいわ。」 「はい、では、さようなら。」 「そうか、アタランテは帰ってしまうのか。」 ルシファーは肩を落としながら、去って行くアタランテを見ていた。 「頑張ってください、ルシファーさん。 女性には、ガッツですよ。」 それを見兼ねたアタランテは、アドバイスを言った。 「うむ、分かった。 ぜひ、そうする。」 「何かおかしいが、それで一体何用だ。」 ミカエルは、苦笑いしながら言った。 「では、本題に入る。 天軍は、白の塔で何をしている。」 「そうか、ゲヘナにもその話しが流れていたか。」 ミカエルは立ち上がり、後ろにあった机から数枚の紙を取り出し、机に置いた。 「それが白の塔に向かって、行方不明になった者達のリストだ。」 「この書類一枚だけでも、百人は載っている。 白の塔で何が起こっている。」 ミカエルは、ストレスで頭が痛いのか片手で抑え、再びイスに着いた。 「それが分からないのよ。 最近、遠くから見る白の塔全体が段々と黒い何かに侵食されているような感じがしてそれ以来近づくものすべてが突然消え去るのよ。」 「分かった、私が少し調べてやろう。」 ミカエルは、机の書類を握りしめながら怒鳴った。 「なに、七罪の王をこの白の大地で自由にさせるわけにはいけない。」 彼は歩くたびに杖を付く音を立て、ミカエルの後ろのカーテンと窓を開いた。 窓からは日の光りが差し込み、心地よい風が吹いてきた。 「それなら、貴様もそんな陰気臭い部屋に引きこもらなく、私とともに来い。」 バァン 「なぜ、貴様がそこまでする。」 ミカエルは机を叩きつけ、立ち上がった。 パラパラ 机に積まれていた書類は、衝撃で床に落ちていった。 ルシファーは微笑み、書類を拾いながら言った。 「私は、世界を知りたい。 ただ、それだけだ。」 彼は、窓の外から見える白の塔を見ながら言った。

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