逆転オセロニア 旅路の風 | 第二章 邪龍逆襲戦争 ナーガ王国
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龍国の煌帝

「遥か昔、ここは、白の大地の中でも恐れられた大地でした。 そこでは、金煌竜と呼ばれる竜が暴れていたからです。 金煌竜は、以前あった王国の土地を気に入り、自身のものとするために王国の住民のほとんどを追い出しました。 しかしそれに飽き足らず、周辺の王国などにも攻撃をしていました。 しかし、一人の勇者と錬金術士がその竜に戦いを挑み、戦いは千日も続きました。 そして最後は、戦いに弱った竜は、錬金術士の作成した箱に封印されました。 そして、勇者は、この大地に国を作りましたとさ。」 暗い夜にロウソクを灯していて、広いベッドの上で男の人が女の子に言っていた。 「お父様、お父様、その国は、どこにあるの。」 青い角の生えた女の子は、男の人に尋ねた。 男の人は、娘の頭をなでて微笑みながら言った。 「それは、いつかお前が治める国、龍聖ナーガ王国だよ。 シエ・スーミン。」 女の子が熱心に聞いている間に足の部分にある小さな3匹の竜もスヤスヤと眠っていた。 この3匹の竜は、初代ナーガ王国の王が金煌竜を倒したことにより、神により授かった竜でこの姿のものは、ナーガ王国の王族の血筋であると言われている。 それから数年後・・・。 ここは、龍聖ナーガ王国の城の中の決闘場。 「ガァァァ」 ザシュ 頭に青い角の生えた長髪の女性が鬼のような形相で長い刀剣で先ほどの男の人を切った。 「これでこそ、我が王位継承者よ、頑張れ、シエ・スーミンよ。」 男の人は、胸を傷つけられたが満足した顔でそのまま光となって消えていった。 数日後・・・。 「まだ、王は、来ないのか。」 先ほどの男とは違う、黒髪であらゆる戦場をくぐり抜けた古風な武人が言った。 彼もシエ・スーミンと同じで3匹の竜がいた。 「すみません、ジェンイー様、シエ・スーミン様は、先王のことで儀式以来、心を病んでおりまして。」 シエ・スーミンの侍女が言った。 「何ということだ、そのような心構えでこの国を守れるというのか失望した、俺はこの国から出て行く。 二度と俺の前には、現れるなとあの小娘に言っておけ。」 ジェンイーはそう言い、ナーガ王国の城から出ていってしまった。 ジェンイーが歩いていると、目の前に白色の長髪で聖職者のかっこうをしていた男がいた。  「ジェンイーさん、あなたは、新たなる王を迎えないのですか。」 「あんな弱い王には、何の未練もない。 力こそ全てのこの国にあの王がいたら国は破綻する。 貴様ももう少し賢いと思ったがな、ファヌエル。」 ジェンイーは、その男をにらみつけながら言った。 「フフッ、あなたらしいですね。 でも私には、彼女こそ、この国に相応しい理想の王になれると思いますがね。」 ファヌエルは、微笑みながら言った。 ジェンイーは、ファヌエルの横を通り過ぎ、そのまま顔をしかめながら王国から出ていった。 そして、二度と帰って来ることはなかった。 その頃、シエ・スーミンの部屋では、先王の形見の剣を抱きしめながら泣いていた。 「お父様、お父様・・・。」 [newpage]  それから、数年後・・・。 空は、雲ひとつも無く。 あたり一面草原の広がっているところに二人は、歩いていた。 それは、アルテレンとフールだった。 祝福の町エデンをあとにした、アルテレン達は、エデンで稼いだお金でナーガ王国に売られている魔術書を買いにでかけていたのであった。 前にいるフールが肩に乗せている蛇を気にしていた。 アルテレンも気になり、フールに言った。 「どうしたんだ、フール。」 「最近、ケリューが元気なくてね。」 フールの肩に乗せている蛇は、ケリューと呼んでいる。 昔、初めてフールが召喚させた動物だった。 それ以来、ケリューは、フールに離れることはなかった。 バァーン アルテレンがケリューを見ようと近づいたとき、そう遠くはないところから何かが爆発した音が聞こえた。 よく見てみると、草原の中にある小さな家から燃えているのではないのかと思うほどの煙が出ていた。 すぐさま、二人は、煙の出ている家に向かった。 そして、その家の扉を開くと、爆発の影響か家の中は、煙で充満しており、物は、泥棒に入られたのかと思うほど散乱していた。 ギィィー 隣の部屋の扉からまだ幼さが残る少女が出てきた。 「くぎゅう、また失敗してしまいました。 あれっ、どちら様ですか・・・。 あわわわわ、もしかして泥棒さんですか。 早く、出ていってください。」 ブンッ 少女は、いきなり二人に驚き、近くにあったフライパンを投げつけて来た。 そのフライパンは、フールに飛んでこようとした。 「危ない、フール!」 アルテレンは、とっさにフールをかばった。 ゴンッ 鈍い音がして、アルテレンの視界は、真っ黒になり、そのまま倒れた。 それから、どのぐらい気絶していたのだろか、何やら声が聞こえてきた。 「そうなんですね、フールさんは召喚士なんですね。」 アルテレンは、べッドに横になっていたらしく、少女の声で目が覚めて起き上がった。 フライパンに当たった頭がまだズキズキと痛んだ。 「アルテレン、気がついたんだね。 さっきは、ありがとう。」 「あわわわわ、先ほどは、どうもすみませんでした。」 フールの笑顔の感謝と少女の泣き顔の謝罪でアルテレンは、いまいち状況が掴めずポカーンとしていた。 Now loading... アルテレンは、頭を打った影響で記憶が少しあやふやになっており、フールに教えてもらい、先ほどの状況を理解した。 「そうか、だから頭が痛むはずだな。」 「ほんとうにすいません。」 少女が何回もヘコヘコと頭を下げた。 「大丈夫ですよ、オルロさん、アルテレンは、そんなに根に持つ人じゃないですよ。」 フールは、苦笑いしながら、オルロという少女をなだめた。 その後、アルテレンが気絶していたため、どっぷりと日が暮れて夜になったため、そのまま泊めてもらった。 その暗い草原に一人の男がオルロの家に近づいていた。 「ふむ例の二人は、ここにいますね。」 [newpage] コンッコンッ 扉から誰がノックしている音が聞こえた。 「オルロさん、泥棒ではありません。 ファヌエルですので開けてくださいますか。」 その後、男の声が聞こえた、泥棒ではないと言う言葉を聞き、フールは、この人もフライパンか何かを投げつけられたのかなと想像してしまった。 「神父様ですか、今、開けますね。」 扉を開けたとき、ファヌエルと呼ばれる神父は、アルテレン達の顔を見ると安心した表情になった。 アルテレン達には、その意味は、理解できなかった。 Now loading… その頃、ナーガ王国の城の中の王位継承者を決めるのにも使われる決闘場で、一人の武装した女性が誰かを待っているように決闘場の入口を見つめていた。 そこから、一人の老練な武人が入ってきた。 女性は、覚悟の眼差しで言った。 「待っていたわ、ジェンイー。」 「フッ、もうお前の家来ではない、小娘。 一体、俺に何のようだ。」 ジェンイーは、にらみつけて彼女に言った。 「それは、あなたに手伝ってもらいたいことがあるの。」 「そうか、なら、ナーガ流の武人のやり方で行こうか。 いくぞ、小娘!」 ナーガ流のやり方とは、頼み事をするとき相手が拒否したなら、それを従わせるために決闘に勝利して協力をさせることだ。 ジェンイーは、重厚な大剣で斬りかかった。  キィーン それを彼女は、ジェンイーよりも細い長剣で受け止めた。 「私は、小娘ではない、ナーガ王国の王、シエ・スーミンだ!」 シエ・スーミンはそう言い、ジェンイーを弾き返した。 弾き返したために体制を崩したジェンイーに追撃を加えようと、シエ・スーミンが距離を詰めて剣を振るった。 キィン、カラン、カラン しかし、シエ・スーミンの剣は、ジェンイーのカウンターによりまるで糸のように簡単に剣がツバの部分から切られた。 「まぁ、昔よりは成長したか。 だが、相手が使う剣がどのようなものか見極めばならん。 俺の剣は、重量があるぶん、相手の鎧ごと切るよりか叩き壊すことに特化している。 だから俺は、それを利用してお前の剣を叩き切った。 次は、貴様のほうが、剣は振りやすいのだからもう少し剣の振る速度を速くしろ。」 シエ・スーミンは、折れた剣を見ていて、ショックを受けていて下を向いたままだった。 「いつまでも過ぎたことに後悔するな。 ファヌエルから聞いている、白き地獄が復活したとな。 なに、さすがに奴は、初代王国の置き土産、俺にも祖先からの責任がある、お前が良ければ協力しないこともない。」 シエ・スーミンは、顔を上げて驚いていた。 なぜなら、ナーガ王国の決闘は、負けたら勝者に従わなければならないからである。 Now loading… ここは、ゲヘナの暗黒街の中でもひときわ大きな建物の中。 マジシャンのような帽子を被った紫色の燕尾服を着ていた西洋の伯爵のような男が水晶に話していた。 「ダウスタラニスさん、計画は、進んでいますか。」 「ああ、進んでいるぜ、くぅー、早くナーガ王国の住民どもの絶望している顔を見たいぜ。」 ダウスタラニスと呼ばれる者は、大声で笑いながら言った。 「そちらは、お任せしますので吾輩は、次の計画を進めますのでよろしくお願いします。」 そして、ダウスタラニスと通信が切れた後、男は、その部屋から出ていった。 その男は、不気味な笑みを浮かべていた。 [newpage] 「これは、ナーガ王国にある薬があれば治りますね。」 ファヌエルが体調の悪いフールの蛇、ケリューを見ていた。 「ありがとうございます、ファヌエルさん。」 フールがファヌエルに言った。 「ええ、このぐらい大したこともありません。 神の前では、どの生物も平等なのですから。 ところでアルテレンさんとフールさんは、どのようなことをなされているのですか。」 ファヌエルが二人に聞いた。 「俺は、月読魔術士でフールが召喚士だな。」 アルテレンが聞かれて嬉しかったのか笑顔で答えた。 少しファヌエルは、驚いていた。 「そうなのですね、月読魔術士ですか、あまり聞いたことはないですね。」 そして、色々と会話したあとファヌエルは、教会に帰ると言い、外でお別れをし、その後、二人は、オルロの家に泊まった。 シー、シー、シー 夜の虫達が草原で歌を奏でていた。 そこにファヌエルは、水晶を持ちながら草原の上を立っていた。 「私が調べたところやはり彼は、月読魔術士です。」 「やはりそうなのね、アタランテに聞いたりしたけど気になっていたわ、あの月の紋章が入っている特徴的な服装が文献に似ているのとそっくりだったからね。」 その声は、あの天軍ゼルエルの声だった。 「まぁ、まだ一般魔術士の火炎魔法と初歩的な月読魔術の凍結魔法しか使えないように見えますので、監視をすればいつでも対応ができますよ。 ところであなたに頼まれていた、ぬいぐるみシエ・スーミンとぬいぐるみオルロ・ソルシエを作りましたので次にエデンに向かったときに持ってきましょうか。」 「ええ、そうね。 えっ、本当に作ったのですか。 ・・・、フッフッフッ。 やった、これでシエちゃんやオルロちゃんをフニフニできる。 フッフッフッ、これで私のかわいいものコレクションはまた一段と輝きを増す。」 ゼルエルは、普段は天軍の手本となるような姿勢でやっているが、かわいいものがあると、はしゃいでしまうクセがある。 嬉しいあまりにピョンピョンと飛んでいるゼルエルを水晶越しに見てファヌエルは、鼻で笑っていた。(愉悦に浸っていたのかもしれない) Now loading… そして朝になり、さっそくアルテレン達二人は、ケリューの薬を買うためにナーガ王国に向かった。 オルロも用があるため、一緒に向かった。 ナーガ王国の門の前に着いた、門の外にはいくつもの大砲が設置されていた。 門以外は、全て20メートルほどの高さの壁が王国全てを包み込むように作られており、人ほどの大きさのトゲが無数に着いていた。 そして門の前にも、表情の険しい体格の良い竜人が武装して見張りをしていた。 竜人とは、姿は人間に近いが竜の角などが生えていたり、竜がそのまま人間に近い体格のものを指す。 今回の竜人は、人に近い竜人だったが足の部分には、3匹の竜がいた。 エデンに比べるとピリピリとした空気を感じた。 「何かあったのですか。」 アルテレンが門番の竜人に聞いた。 門番の竜人は、遠くを見て答えた。 「んっ、ああ、お前らは、勇者の王国という物語を知っているか。」 「ええ、知っています。 確か、金煌竜という竜が王国を荒らして、それを勇者が退治した話ですね。」 フールがアルテレンの横に並んで言った。 「そうだ、ここの教会の神父からは、その金煌竜が復活したらしい。 だから、俺は、奴が来るのか監視しているのさ。 まぁ、旅の者、悪いが今からここの扉を安全のために閉める。 だから当分は、外には出れない。」 門番の人がアルテレン達、三人が入ったのを確認すると門を閉じた。 「ええっ、そんな・・・。」 三人は、驚きを隠せなかった。 その頃、ファヌエルは、王宮の中におり、シエ・スーミンと話していた。 「ファヌエルさん、本当に天軍は、この二人を王国に保護するだけで、この戦争が終わったあとの援助をしてくれるの。」 「ええ、そのように約束しました。」 「すいませんね、父である前の王が白き地獄が来ると言い、武器を他国から大量に買い漁って、この国の経済も傾きかけ。 私に変わった頃、近くの貿易都市エデンに援助してもらおうと、あなたが天軍と太いパイプを持っていると知り、天軍との交渉役に使ってしまい。」 「国を守るために王としての役目を果たしているだけではありませんか。 私のことなら、前の王が私達の神の教えを広めるために立派な教会を建ててくれ、今でも援助をしてくれてるではありませんか、それのお返しですよ。」 ファヌエルは、微笑むように話した。 「お父様、ありがとう。」 シエ・スーミンは、心の中で父に感謝をした。 [newpage] ここは、ナーガ王国の門をくぐり抜けた城壁の中、そこにも大砲がたくさん設置されており、少し歩くと端のほうに大量の砲弾や石などが山積みになっていた。 オルロが頭を下げていた。 「ごめんなさい、こんなことになっているなんて。」 「大丈夫ですよ、オルロさん、おかげで入る前に閉められなくてすんだんですから。」 フールが言った。 「ありがとうございます。 では、私は、用事があるのでまたあとで会いましょう。」 そう言い、オルロは、大きな荷物を持って王宮のほうへ向かっていった。 その後、アルテレンとフールは、魔術書を買うのとケリューの薬を買うためにオルロに教えられた商店が集中しているところに向かった。 商店の集中しているところに向かっている途中に紙切れのようにナーガ王国の紙幣が道のところどころに落ちていた。 途中で二人は分かれ、フールは薬屋に到着した。 品数は、少なかったがファヌエルに言われた薬は見つけた、それを買おうとフールが薬屋の人間のおばあさんに値段を聞いた。 「この薬は、9億ナーガゼニーだね。」 9億、そんな大金を持ってはいるはずは、なかった。 せいぜい持っているので10万エデンゼニーしか持っていないからである。 「すいません、おばあさん、僕、今10万エデンゼニーしか持っていないのです。」 おばあさんは、その言葉を聞いて少し笑顔になった。 「もしやお客さん、旅の者かい。 それなら、9エデンゼニーで良いわよ。」 フールには、全く分からないまま、9エデンゼニーを渡し薬を購入した。 「すいませんね、お客さん、ここの価値で言ってしまい。」 おばあさんは、少しため息をついていった。 フールは、普通は、どの地域に行ってもお金の価値は変わることがないので不思議に思い、おばあさんに尋ねた。 「それは、前の王様の時代に金煌龍が来ると言い、大量の武器を他国から買って貯蓄していたのさ。 そのときに、他国の銀行からたくさんのお金を借りていて、それが段々と返済できずに困った今の王様が大量にお金を製造したのよ。 それで、この国のお金の価値は暴落して、こんな値段になったのよ。 自国のお金の価値がさがり余計に借金も返済できないままになっているのよ。 でも、この戦いが終わればエデンが援助してくれるから早くこの戦いも終わってほしいわ。」 その話を聞いたあと、フールは、薬屋をあとにした。 確かに人々を見てみると皆、疲れていた様子だった。 そして、フールは、商店エリアの広場のところでケリューに薬を飲ませてアルテレンを待っていた。 カァ、バァーン その時、いきなり太陽よりもまぶしい光がナーガ王国を照らした。 〈白の大地に唯一、地獄を体現させた龍がいた。 その龍は、白の大地最大の王国を一夜にし、住民たちの骨で白く染めた。 それ以来、白き地獄と呼ばれ、金色の鱗に白い双角を持ち鉄色の翼で天空を征する邪龍。 それを倒したのは、一人の勇者では無く、何千の兵士だった、その兵士達も故郷の為、必死に戦った。 だが、残ったものは、足に3匹の竜を生やした竜人と一人の錬金術士だけだった。 そして、封印されたが、いつかは悪しき者の手により復活するだろう。 その竜の名は、金煌竜アラニ・カラミッド。 再び、大地を白く染める者・・・。〉 その光の中から、白き地獄と呼ばれている、アラニ・カラミッドが出て来た。 その竜は、通常のアラニ・カラミッドの倍の大きさで4足歩行の体高がナーガ王国の城壁よりも大きかった。 「フッ、おでましか。 相手にとって不足はない。 いくぞお前ら大砲を全て発射しろ。」 門番をしていたジェンイーは、仲間の兵士達に命令し、準備していた大砲をアラニ・カラミッドに発射させた。 ボォーン、ボォーン 大砲の爆音は、フールの広場にも聞こえてきて、商店にいた住民は、皆家に入った。 「フール、大丈夫か。」 魔術書を買っていたアルテレンが戻ってきた。 ボコ、ボコ その時、地面の中から骸骨の武装した兵士がたくさん出て来た。 カシャ、カシャ キシャー アルテレン達を見つけた際、いっせいに襲いかかってきた。 「なんだ、この骸骨達は。」 「やるしかないよ、アルテレン。 ここの住民があの骸骨兵に襲われたら大変だよ。」 フールが骸骨兵の攻撃を避けながら言った。 アルテレンも避けて先ほど買った本を見ながら昔、一回だけ成功した魔術を唱えた。 「ゲルー・ルナ(霜の月)!」 アルテレンの近くにいた数人の骸骨兵は足のところが凍り付いて動けなくなっていた。 「すごい、でも、僕も負けていられない。 この地に現界せよ、土の人ゴーレムよ。」 フールも成功したアルテレンに負けず魔法陣を生成させ、中からアルテレンに似た姿のゴーレムが出て来た。 「なんだよ、フール。 趣味悪すぎるだろう。」 アルテレンは、顔が赤くなって言った。 「でも、アルテレンがたくさんいるのは、僕は良いけどね。」 「あのな、フール・・・。」 フールの笑顔を見てアルテレンは、頭に手をあてて呆れていた。 Now loading・・・ その頃、オルロは、シエ・スーミンのところにいた。 シエ・スーミンの兵士達も戦場におもむいて彼女一人しかいなかった。 「準備していたものは、完成しました。」 オルロは、先ほど大きな荷物から刀身が黒い剣を取り出した。 シエ・スーミンは、それを受け取った。 「これがジークフリートの使っていた剣、バルムンクです。 何とか、ギリギリまで本物に近付けることができました。」 バァン オルロ達がいる部屋の扉が壊された、そこから先ほど、アルテレン達が戦ったのと同じ骸骨兵が入ってきた。 「何ということ、早く、ジェンイーに伝えないと背後から挟み撃ちにされてしまう。」 そう言い、シエ・スーミンは、迫ってきた骸骨兵を数体切り捨て、骸骨兵の壁を突破しようとした。 [newpage] その頃、アラニ・カラミッドが出現し、しばらくすると太陽は黒い雲に覆われて雨が降り始めた。 それも普通の雨ではなく、バケツをひっくり返したような雨である。 ナーガ王国の城外では、雨が降ってきたため大砲を発射したときよりも慌ただしかった。 「早く、大砲に布を被せろ! 火薬を水に濡らすな。」 ジェンイーの声が戦場に響き、兵士達は、必死に大砲に布を被せていた。 「ジェンイー様、大砲の9割が濡れてしまい、ほとんど使いようになりません。」 「何ということだ、そしたら次の作戦に移る、皆、武器を準備しろ。」 「ハァッ!」 ジェンイーの掛け声とともに、兵士達は、槍、剣、弓、火薬を濡れさせないために布に包まれた銃などを装備した。 「最初は、弓の準備をしろ。」 弓兵隊のリーダーが言った。 弓を持った兵士達が自分ほどの大きさの弓でアラニ・カラミッドを狙った。 「放て!」 リーダーが言い終わると、兵士達は、全て打ち尽くした。 300メートルほど離れているためかアラニ・カラミッドに届いた矢もあったが、手前に落ちている矢がほとんどだった。 届いた矢もアラニ・カラミッドの硬い鱗と遠くの飛距離からの威力の弱さでどれ一つ刺さっているのはなかった。 その為、アラニ・カラミッドの周りには数千の矢で埋め尽くされていた。 「よくやった、あとは、任せろ。」 大雨が降り注ぐ中、ジェンイーは、自身の剣を空に上げた。 「この炎は、業火の炎、千年もの鍛え上げた極天の剣技。 悪しき邪龍を打ち倒すための剣技。 護国の炎の前に失墜せよ。 カイザードラグーン!」 ジェンイーの3頭の竜が剣を振り下げる前に炎を剣に当てた。 剣は、真っ赤に染まりそれを振り下げた。 剣のあまりの速さに、空気は切り裂かれ、炎をまとった衝撃波が一瞬にしてアラニ・カラミッドの片方の前足に直撃した。 ギャアーーーーン バァーン アラニ・カラミッドが初めて、苦悶の咆哮をあげたのもつかの間に、大爆発が起こった。   なぜなら、先ほど放った矢は、火薬入りだった為、炎をまとった衝撃波に引火し、大爆発を起こしたのである。 爆発が収まり、煙が収まるとアラニ・カラミッドの前足は、白い傷ができていた。 キャアーーーン、アンアン アラニ・カラミッドが天に向かって咆哮をあげた。 ボコボコ 何と、地面から王国にいたのと同じ骸骨兵が出現した。 骸骨兵は、次々と兵士を襲い始めた。 「まさか奴は、昔、奴に敗れたものを自分の手下にして呼び寄せることが出来るか。」 改めて、ジェンイーはかつて自分の先祖が戦った敵の強さを実感し、なぜこの国が力ものこそ絶対なのかを思い知らされたようだった。 その間にもアラニ・カラミッドは、痛む片方の前足を引きずりながら、再び自分の国とするためナーガ王国ヘ進み始めた。 [newpage] キシャー ドン、バラバラン  アルテレンの姿をしたゴーレムが次々と骸骨兵を壊していた。 ゴーレムにも負けじと本物のアルテレンも骸骨兵を凍結させたり、炎で燃やしたりしていた。 しかし、それでも骸骨兵は、続々と地面から出て来た。 その時、空から4本の金色の角と赤色の鱗をして体にはたくさんの装飾をまとった人型の竜らしきものが勢いよく地面に着陸した。 土煙が舞い上がりアルテレンとフールは、敵か味方か分からなかったので建物の壁に隠れた。 その竜は、降り立つやいなやアルテレンに似たゴーレムを見て、大声で笑った。 「ギャハハハ、貴様がアルテレンだな! こっちに来い。」 ガシッ 「ウウッ…」 その竜は、ゴーレムのほうのアルテレンをわしづかみにして、再び飛び去った。 一体、何だったのだろうか。 アルテレンは、言った。 「なあ、フール。」 「どうしたの。」 「もう一体、俺と同じゴーレムを作ってくれ。」 「そうだね…。」 フールも少し苦笑いだった。 Now loading…   ザシュ 王宮の外には、バラバラになった骸骨兵が散らばっていた。 「620体目、ハァハァハァ、早く行かなきゃ。」 シエ・スーミンがオルロに作ってもらった、バルムンク・レプリカを使って王宮にいた多くの骸骨兵を切り捨てた。 「王様、もう休憩したほうが良いですよ。」 後ろからオルロは、シエ・スーミンの服を握りしめた。 「私は、大丈夫だ。 ここで止まっていたらジェンイーがやられる。」 シエ・スーミンは、歩もうとした。 「王様、少しは、人の心配も気にしたほうがいいですな〜。」 どこからともなく、声が聞こえた。 「誰だ!」 シエ・スーミンが辺りを見渡しても骸骨兵とオルロしかいなかった。 しかし、いきなり真ん中に一人の男が現れた。 「シエ・スーミン、お前か。」 懐かしい声が聞こえた。 それは、シエ・スーミンにとっては、大切な人だった。 「お父様!」 シエ・スーミンは、すぐにその父親に駆け寄った。 シエ・スーミンの父親は、彼女を抱きしめた。 「今まで苦労をかけて、すまなかった。」 「いいえ、私もお父様のような王にはなれず、国の民を疲弊し続けています。」  シエ・スーミンは、涙を流しながら言った。   その後、ため息を着いて彼女の父親は、言った。 「お前に辛いことを言わないといけない。 この戦いの首謀者はジェンイーとファヌエルだ。」 「それは、なぜですか。」 彼女の問いに父親は、口角を上げて笑いながら言った。 「冗談を言わないでくれ、それは、お前が弱く王の器でないから、二人は嫌気がさしてアラニ・カラミッドに王国と貴様ごと殺させて、その後天軍がアラニ・カラミッドを倒したら奴らは、王になってお前を国民の前でこき下ろして、お笑い者にするのだ。 ナーガ王国の疫病神としてな。」 「やめて、やめて、やめてー!」 シエ・スーミンはその男の前でうずくまった。 「王様、王様。」 オルロの声で目を覚ました、どうやら気を失っていたようだ。 その間にもオルロは、骸骨兵に襲われないように混乱魔術でシエ・スーミンを守っていた。 「ありがとう、オルロさん。 私は、ジェンイーとファヌエルを倒さなければならない。」 「どうしたのですか、王様、二人は敵ではありません。」 その時、シエ・スーミンの持っていたバルムンク・レプリカは、オルロにも裏切られた怒りによって別の剣になっていた。 「これは、魔剣グラムに変化している。」 魔剣グラム、それは怒りを意味する剣、かつてシグルドと言う剣士が使っていた魔剣である。 オルロの前にシエ・スーミンがグラムを振り上げた。 「貴様も私の敵か!! オルロ・ソルシエ!」 シエ・スーミンは、オルロに剣を振り下げた。 オルロは、まったく意味がわからず呆然と立っていた。 [newpage] キーン その時、呆然と立っていたオルロの目の前に何かが立ち塞がりシエ・スーミンの剣からオルロを守った。 それは、フールのゴーレムだった。 アルテレン達が商店のところから骸骨兵を倒しながら進んでいたら、たまたま合流できたのである。 ゴーレムは、シエ・スーミンの一撃によりすぐに崩壊して土となった。 「オルロさん、大丈夫ですか。」 フールが声をかけるとオルロは、泣きながらフールに抱きついた。 「フールさん、助けてください。」 いきなりのことでフールは驚いたが、彼女の格好を見て、誰なのか分かった。 「あの女性がナーガ王国の王様なのか。」 フールは、オルロをかばうように前に出た。 シエ・スーミンは、顔を左手で押さえつけて、右手のグラムをフールに向けて、うわ言のように言った。 「邪魔をするな、あなたも敵か、あなたも・・・。」 「アルテレン、オルロさんを連れて逃げて。」 フールが後ろにいたアルテレンに言った。 「なに、言ってんだフール。 そしたら、フールが・・・。」 「僕なら、ゴーレムを囮に使えば逃げれるし、それと君なら骸骨兵を凍結魔術で動きを止めることもできるから、オルロさんと逃げ切れるよ。」 アルテレンは、横で涙目になっているオルロを見た。 伝説の剣を複製できる錬金術士と言ってもまだ彼女は、少女なためほっとくことはできなかった。 アルテレンは、オルロを背負った。 「ありがとう、アルテレン。」 「絶対に逃げてくれよ、フール。」 そう二人は言い、アルテレンはフールのいるところを後にし、前に立ち塞がる骸骨兵を氷漬けにし、王宮近くを後にした。 Now loading… その頃、あれほど降った大雨も、もう小雨になっていた。 城壁の外のすぐ近くでは、骸骨兵全てを破壊したジェンイーを先頭にアラニ・カラミッドと死闘を繰り返した。 アラニ・カラミッドは、口から球状のようなものを作り出して、城壁に当てようとした。 キャアアアアン キィーーーーン 玉は、大木ほどの大きさの熱光線になり、城壁を溶かそうとしている。 「そうは、させるかー!」 ジェンイーの声が響き、刀剣部隊の武人がジェンイーが加えた前足の傷に攻撃を加えた。 弓兵部隊などの遠距離部隊は、いきなりの骸骨兵の襲撃で全滅しており、残っているのは刀剣部隊などの近距離部隊だけである。 アラニ・カラミッドは、兵士達を払いのけるため、前足を何度も上に上げて地面に叩き付けた。 地面を叩きつけるたびに地響きが起きた。 幸い、巻き込まれたものはいなかったが、長い戦いのため兵士にも疲れが見え始めた。 「あの小娘は、何をしている。 兵士の士気も下がり城壁も突破され、王国が滅びるぞ。」 ジェンイーは、そう思いながら兵士と一緒にアラニ・カラミッドに向かっていった。 [newpage] ザシュ バランバラン フールのゴーレムは、土くず残さず跡形もなく消えた。 シエ・スーミンの魔剣は、切るたびに威力を増しているが反動に彼女の体力も蝕んでいる。 「なんて威力だ、少しでも触れたら魔剣に消滅させられる。」 「うああぁぁ!」 シエ・スーミンは、怒りで我を忘れて再び魔剣を振り下げた。 その時、魔剣から黒い霧のようなものが出て来た。 あっと言う間にシエ・スーミンもフールも黒い霧のようなものに消えていった。 Now loading… 「どこだ、ここは。」 フールは、黒い霧に消えた後、どこか見知らぬ真っ白な部屋にいた。 部屋を見渡すと、扉があった。 その扉を開くと、また部屋が出て来た。 次の部屋は暗く、辺り一面に刃物が落ちており、部屋の壁も傷だらけだった。 その時、一人、部屋の隅でのうずくまっている竜人の女性がいた。 フールは、その女性に尋ねた。 「大丈夫ですか。」 女性は、顔を上げてフールを一回見たが、またすぐにうずくまった。 女性は、シエ・スーミンだった。 「私に構わないで、私は何もできない、愚かな王なのよ。」 彼女は、うずくまりながら涙声で言った。 「そんなことありません。 王様、いや、誰でも諦めなければ何だってできるんです。」 フールがうずくまっている彼女に言った。 彼女は、いきなり立ち上がりフールの目の前に来て、肩を掴んで涙を流しながら大声で言った。 「私は、皇位継承のためとはいえ、父を殺した罪人ですよ。 それも私が王になるという決意の無いままに殺してしまったのですから、父が無念でなりません。 こんな私に誰がついていくのですか。」    フールは、彼女の掴んだ手をゆっくりとおろして言った。 「僕は、あなたに着いていきます。 この部屋の傷は、あなたの心なのでしょう。 あなたが何度も何度も傷付けた心。 それは、つまり人の痛みも分かるんですよ。 商店で見たんですが、結果は、民を苦しめてしまいましたが、国の借金を返済し、民の生活を苦しめないために紙幣も大量に作るように命令したんじゃないですか。」 フールの言葉にシエ・スーミンは、驚いた顔をしていた、そして彼女の心の部屋に小さな明かりが少しずつ差し込んで大きくなってきた。 そして、二人は再びその光に照らされ消えていった。 Now loading… 目が覚めると、再び王宮の近くにいた、先ほどアルテレンに凍らされていた骸骨兵が動き出し、フールに狙いをつけて槍などで刺そうとした。 シュン 倒れているフールの上から暖かい風が吹き、骸骨兵は、何かに解放されたかのようにチリとなって消えた。  フールが後ろを見ると、シエ・スーミンが剣を手に持っていた。 剣は、魔剣グラムではなく、父の形見の細長い剣だった。 シエ・スーミンからは、もう魔剣の狂気は、消え去っていた。 「ありがとう、旅の人よ。 私は、やっと王としての務めが分かりました。」 シエ・スーミンは、そう言い、フールに手を差し伸べた。 フールも笑顔で手を握り立ち上がり、彼女と一緒にジェンイー達のいる戦場へと向かった。 アラニ・カラミッドの咆哮が聞こえるが、シエ・スーミンにとっては恐怖ではなく、超えなければいけない壁だと感じた。 [newpage] ドンッ、ドンッ アラニ・カラミッドが城壁に何度も体をぶつけていた。 城壁の針は、アラニ・カラミッドの硬い甲殻には、意味もなさず体当たりで先端が丸くなっていた。 刀剣部隊もアラニ・カラミッドの猛攻に耐え切らず、ほとんど倒れていた。 残っていたのは、ジェンイーと数人だけだったが立っているだけで精一杯だった。 「さすが、白き大地の地獄よ。 どんなに科学や魔術を発展させても、それすらも凌駕するのか。 まったく、初代王国を設立するために未来の王国を滅ぼす代償を払ったわけか、この王国は・・・。」 ジェンイーは、皮肉を言いながら剣を杖代わりに使い、アラニ・カラミッドに近付いていった。 その時、崩れかけている城壁の上から二人の人影が見えた。 それは、シエ・スーミンとフールだった。 ギャアオオオオオオ!! アラニ・カラミッドは吼えた、怒り、怨み、興奮、その感情全てが混じった咆哮だった。 それは、自身にトドメを刺した相手の同じ匂いがするからである。 そして、二人のいる城壁に今までにない勢いで突っ込んできた。 キィン、キィン、キィン その時、3人のフードを被った武装した天使がアラニ・カラミッドを止めた。 下から、男の声が聞こえた。 「王よ、助けに参りました。」 下にいるのは、ファヌエルとオルロ・ソルシエだった。 武装した天使は、ファヌエルの召喚したエスペランサという天使であった。 「ありがとう、皆のもの。 大義であった、あとは、私に任せろ!」 シエ・スーミンが剣を構えたとき、エスペランサも限界で弾き飛ばされ、再び突進した。 「危ない、王様!」 フールが叫んだとき、突進しているアラニ・カラミッドの顔が爆炎に包まれた。 それは、近くにいたジェンイーの最後の力を振り絞り放った、カイザードラグーンであった。 ジェンイーは、そのまま倒れ込んだ。 シエ・スーミンは、ジェンイーの作った数秒を無駄にせず、剣を腰のところにまで持っていき、足の部分に当たる3頭の竜が蒼い炎を出し、剣先に当てた。 剣は、熱で赤くならず、蒼い炎をまとっていた。 「この剣は、全ての人々の幸せと平和を願う想いに造られた剣。 悪しき者を払い、悪しき者さえ正しき道へと導く、導きの剣。 そして、この王国の始まりを告げた初代王の最後の技・・・。 天よ悪しき者に許しよ、一天牙刀!」 シエ・スーミンは、蒼い炎の剣で目にも止まらない速さで斬った。 剣の斬撃は、アラニ・カラミッドよりも巨大で蒼く輝いていた。 斬撃が起こした風は、王国を包み込んだ。 その風は、王国にいる骸骨兵を全てチリとかした。 家の中に避難していた人達も、骸骨兵がいなくなることに気付き外に出て空を眺めていた。 風によって雨を降らせていた雲は、少しずつ日の光が差し込んでいた。 ザシュ 斬られたアラニ・カラミッドは、空を仰ぎながら何かを言った。 「そうか、俺には、もう復讐も何もないのか。 空は、こんなにも美しかったのか。」 そう言って、光へと消えていった。 アラニ・カラミッドが斬られたのは、身体ではなく、自身の怨念であった。 倒れていたジェンイーも座り込んで光になって消えたアラニ・カラミッドのいた場所を見ていた。 「フッ、力こそが絶対だと思っていたが、それこそが大きな間違いだったのか。」 後ろからファヌエルがいた。 「あなたの考えも間違えではなかったですが、今回の戦いは力で押さえつけるのではなく、相手を助ける勇気が大切だったんですよ。 それが彼女にあったからこそ怨念で生き続きた竜を改心させることができたのだと、私は、思いますね。」 「そうだな、神父、さっそく王に勝ちどきを挙げねばな。」 ジェンイーは、ふらつきながらも立ち上がり、倒れた兵士達を立ち上がらせながらシエ・スーミンのもとへ、ファヌエル達と一緒に向かった。 空は、白い雲が泳いでいた。 [newpage] 空の雲は、だんだんと白い雲になり太陽も出ていた。 日に照らされている城壁は、激しい戦闘で今にも崩れそうだった。 シエ・スーミンは、城壁の上で消えたアラニ・カラミッドがいた方向を見ていた。 「貴方の心の声も聞こえた、私と同じだった。 ひたすらに孤独を感じ、命を奪った罪。 幾度となく傷付けた心。 しかし彼は、その心も、もはやなくなり、ただ怨念だけが残り、生きる意味を見失い。 ただ、ひたすらに暴れた。 あの彼が襲ってきたときの瞳は、鏡で見た父を殺した直後と私と同じ瞳。 本当に彼を裁いた権利を私は、あったのかしら。」 シエ・スーミンは、独り言のように言った。 「でも、王様が止めないと彼の良心も苦しんだのかもしれないと僕は思います。」 フールが言った。 「ありがとう。 あなたは、いつも優しいのね、誰かに寄り添い、誰かを元気にさせてくれる。 私もあなたのようになりたいわ。」 シエ・スーミンは、笑顔で言いながら歩き出した、蒼い髪は日に照らされて反射していた。 フールは、照れて赤くなった顔を下に向けた。 「王国は、あなた達に感謝をしないとね。」 シエ・スーミンは、そう言いフールと二人でジェンイー達がいるところに向かった。 Now loading… 城壁の門から二人が歩いている姿が見えた。 「王様が来ましたよ、ジェンイーさん、神父さん。」 オルロは、二人が来たことに喜んで飛び跳ねていた。 そして、二人は、ファヌエル達のいるところにたどり着いた。 シエ・スーミンは、ジェンイーの前に来た。 ザッ ジェンイーは、膝を着き、座ったような騎士のお辞儀をした。 「どういうこと、ジェンイー。」 シエ・スーミンは、驚いた表情になった。 「フフッ、恥ずかしくて言えないジェンイーから。 俺は、王様を認めましたと。」 ファヌエルは、シエ・スーミンの後ろで言った。 ジェンイーは、バツの悪そうな顔をしていた。 シエ・スーミンは、お辞儀をしているジェンイーに近付き、お辞儀をしている彼の目線に合わせた。 「そんなに、固くならないで良いの。 あなたは、遅れた私のために敵を食い止めてた、この国の英雄なのだから。」 シエ・スーミンは、ニッコリと笑顔でいた。 ジェンイーは、照れて顔があげれなかった。 「そんなまさか、じゃあ、あれは誰だったの!」 後ろからフールの声が響いた。 「どうしたのですか。」 ファヌエルがフールに尋ねた。 フールは、混乱していて震えながら話した。 「それが、僕の中では先程まで一緒にいたオルロさんが、今日会ったのは、門の近くで別れたとき以来だったのですよ。」  フールもかなり動揺してて言葉がおかしくなっていた。 オルロもなんのことか分からず、混乱して泣き出しそうだった。 Now loading… とりあえず、ファヌエル達は、二人を落ち着かせるために王宮の客室で話を聞いた。 ケガの治療を終えたシエ・スーミンとジェンイーも一緒にいた。 「ふむ、フール君の言うには、王と会ったときにはオルロさんがいて、暴走した王からオルロさんを守るためにアルテレン君にオルロさんに逃げるように言って逃げたが、今いるオルロさんは違うと言っているですか。」 ファヌエルが言った。 「フール君の意見は、私も保障するわ、私も暴走する途中まで彼女とは、一緒に行動したわ。」 シエ・スーミンが言った。 「おかしいですね。 私は、朝、教会に届け物に来たオルロさんとずっと一緒に行動をしていたのですけどね。」  体中、包帯だらけのジェンイーが座りながら言った。 「もしかしたら、噂で聞いたが、黒の大地にいる、毒刃の暗殺者なら、相手にそのままそっくりと変装できるのかもしれない。 フール、もし、助けたいのならこの地図を見て、俺を知っていると言えば、そこにいる人が話になってくるさ。」 ジェンイーはそう言い、地図を渡した。 「ありがとうございます!」 フールは、すぐにそれを受け取って走り出し、部屋から出ていった。 シエ・スーミンは、フールが部屋から出ていった後、ジェンイーに問いかけた。 「ジェンイー、何てことをするの。 彼は、まだ子供なのよ。 それをあんな危険な黒の大地に行かせるなんて。」 ジェンイーは、ため息を着いて言った。 「王よ、誘拐された魔術士は、この五人しか知らないんだ。 王とファヌエルは、できるだけ天軍の引き渡し交渉を長引かせないといけないし。 オルロは、街の復旧の金属材料を造らなければいけなく、俺は、このケガで足手まといだ。 まぁ、心配しなくてもフールに同行させるのは、俺も認める傭兵だ。」 シエ・スーミンは、心配な顔をしてジェンイーを見つめていた。 [newpage] 空の太陽は、すっかり隠れて辺りは暗くなり、森の木々はより一層、ほのかな光を覆っていた。 そこは、ナーガ王国よりも少し遠くにある森の中。 その森の中に一つの明かりの着いている小さな家が見えた。 フールは、地図に記されているところと明かりが出てる家が一致したので近付いた。 ギィィー 扉を開けてみると、誰も居なかった。 しかし、オルロの爆発後の家の中よりもたくさんの物が散らばっていた。 フールは、あ然としていた。 「これは、すごい・・・。 きっと、この部屋の中も爆発したんだね。」 そう言いフールは、散らばっている物を片付けた。 ガチャ、ザッ、ガチャ 明るい部屋に物を取り出す音が聞こえた。 その時、片付けをしている最中、隣の部屋から誰かが出て来た。 「何だね、騒々しい。」 部屋から出てきたのは、灰色と白の混じった髪色をし、髪は後ろに結ばれて、見慣れない赤い戦闘服に身を包んだ、胸の大きな女性だった。 「あっ、すいません。 依頼したことがあって、居なかったと思ったので勝手に入ってしまいました。」 フールは、謝罪のため頭を下げた。 「そうか、まぁ、家は散らかっていてすまないが、そこのイスに座ってくれ。」   フールはイスに座ったら、その女性が話しかけた。 「それでこんな夜分どうしたんだい。 仕事の依頼か。」 「それが僕の友達が毒刃の暗殺者にさらわれてしまったので、僕の友達を取り返してほしいのです。」 「分かったわ、私の報酬は成功したら払ってくれ、あなたの友達は、相当厄介な相手にさらわれたわね。」 その女性の暗殺者の名を聞いた途端、表情が険しくなったのでフールは、不安を覚えた。 「それで、あなたの名前と職業は?」 見かねた女性は、不安な表情を和らげようと別の質問をした。 「僕は、フールです。 その友達と旅をしていて勉強しながら召喚士をしています。 そして、こちらが僕の召喚獣ケリューです。」 服に隠れた蛇のケリューをフールは、取り出した。 「ヒィ、それは、・・・。」 ガクッ 女性は、ケリューを見た途端、立ったまま気絶してしまった。 「大丈夫ですか。」 慌ててフールは、その女性が倒れそうだったので体を支えた。 Now loading… ここは、白霧に覆われた暗黒街ゲヘナ。 そこでゲヘナ軍の魔王が住まう居住地の次に高い建物、悪魔の館。 その館の中で一人のニット帽を被った男が部下らしき三人に何やら言っていた。 「ありがとうございます、ヘイランさん。 吾輩の計画は、最終段階に進むことができましたなー。」 「ギャハハハ、おめでとう暗殺者。 俺間違えたからな、ゴーレムと。」 体中に装飾をしている赤い竜は、笑いながら言った。 「全く、勝手な真似をされては困るわ。 あの王様も、もしかしたらあのまま立ち直れずアラニ・カラミッドを倒せなかったら、ここの計画にも影響するのですから。」 黒のコートをし、フードを被っている女性は、言った。 「まぁ、とりあえず二人ともナーガ王国の混乱および月読魔術士誘拐、ご苦労ですなー。」 その時、コートを来た女性の隣にいた見慣れない白い鎧の男が言った。 「もう少しで、悪しき魔術士を助けるものが来るであろう。」 「そうですか、あなたの未来予知にはいつも助かります。 では、早速、世界を救うために邪魔者を排除するのですなー。」 そして、三人は、男が言ったあと瞬時に姿を消した。 館の部屋のベッドではアルテレンは、すやすやと眠っていた。 ゲヘナの満月は霧と合わさり、赤い月となっていた。 それは、計画の最終段階へと突入した意味でもあった。 第二章 邪龍逆襲戦線 完

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