2-24 運命の出会い

あの大火事のことは岡崎の叔母の元にも届いていた。 その折り、火事見舞いと称して上京した叔母が、一人の娘を連れて来たのだった。 災難時に人手が要るだろうとの心遣いであった。 火事場の整理はその時19歳だった彼女を使いながら俺がやり、祖母は小松川の家で面倒を見て貰った。 叔母は数日経つとその娘を残して帰って行った。 小松川の叔父は、 火事場を整理した後の建築仕事に毎日来てくれた。 まだ未成年だった彼女にとって、一度自分の実家に遊びに来ただけの人の家に残されて、色々仕事を言われながらも、さぞ一人で寂しかった事だろうと思う。 こうして紹介された後、お互いに結婚する前提での付き合いが始まった。 東京と愛知の長距離恋愛である。 妻によるとその頃に2人が交わした手紙は行李に一杯あったという。 ある日の手紙に稲穂が添えられていた事があった。俺がその事を俳句にし新聞に投書したら、入選してしまった。その新聞の切り抜きを送って、喜ばれた事もあった。結婚前の心根のキレイな時期でもあった。 「待ちわびし 便りに添える 初穂かな」

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