年上彼女と始まり

19時、駅の近くのデパート入口前で待ち合わせ ソワソワする気持ちをぐっと押し殺して辺りを見渡すが、待ち合わせ場所にうってつけのここは会っては離れてまた新しい人が来て、と人の多さは変わらない どうしたものかなと一瞬悩むとピロン、スマホが通知を知らせてくれる 《着きました!入口前で黒いワンピース着てます》 このメッセージの相手とは初めて会う それでも何度かやり取りしているうちに勝手に好意を持っていた 入口前の黒いワンピース、と思って探すと入口前に小さな人が辺りを気にしながら立っていた 普段は文章でしか話したことが無かったから、本人を生で見るとイメージがまた違う 年上のお姉さんの雰囲気かと思っていたが、フワッとしていて背の高さも相まって女の子感が強い 美人というより可愛いといわれるタイプだろう 少し不安そうに視線を動かしてスマホを見ている そういえば返事を返せてなかったなと思って慌ててメッセージを送る 《見つけたのでそこにいてください》 それを読んだのか安心したようにへにゃっと笑って画面から顔を上げて真っ直ぐこちらを見た あ、目が合う パチッと視線がぶつかったので少しだけ大股で歩いて彼女に寄る 「はじめまして、サキさん」 そうやって声をかけると彼女、サキさんはこちらを少し見上げて笑った 「はじめまして、マサヤくん。良かった会えて」 「こちらこそ、見つけられて良かったです」 そう言うともう一度こちらを見上げたサキさんは笑う 「これで次は私が探せるね」 まだ出会って数分しか経ってないのに次の話をしてくれるのか 第一印象で嫌われていないようで安心した 「じゃあ、行こっか!」 にっこり笑って歩き出したのは目的の店と逆方向 「サキさん、こっち」 ポカン、と見上げられてから自然に手を取っていたことに気がつく 「あっ、これは別に」 言い訳をしようとした所でスルッと手を離された 「ごめんね、方向音痴なんだあ」 さっき握った小さな手で頬をかくサキさんは困ったように笑った 多分そうすることで手を握った事を無かったことにしてくれている そういうさり気ない気が使えるのは暫くしていたメッセージのやり取りでも気がついていたがいざ目の前でされると子供みたいに笑う中に隠しきれない大人らしさが溢れているように感じた 「逆だったんだね、こっちかー」 ふふふっ、と笑って人混みの中を歩いていくのを追いかけた 「そっちも違います!」 認識を改めよう、彼女は大人な子供で先を歩かせちゃいけない!

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