ケプラー22b | 第14章 サバクオニヤドカリ
印朱 凜

エウカリス

 そう、僕は|国際連合宇宙局《UNOOSA》に所属し太陽系外植民惑星査察官になる前は、シンニフォン国の軍人だった。  僕は空軍の地上勤務の|無人機パイロット《コンタクト・ドライバー》だったのだが、腕を買われて国連宇宙局からスカウトされたのだ。元々アストロノーツ志望者だったので、狙い通りに事が運び、とても嬉しかった記憶がある。その後、身寄りのない天涯孤独の僕は地球での生活に失望し、片道切符と承知の上で志望者ゼロのケプラー22b査察ミッションに立候補することになる。  もう地球には二度と戻れないかもしれないが……後悔だけはしたくないな。  |装甲殻類《カルキノス》のサバクオニヤドカリは、電神ヴィマナの破壊力に恐れをなし、全ての個体がオアシスに姿を消した。  殻の破片が遺跡のように散らばる地上だったが、幾多の瓦礫を乗り越えながら行方不明のスケさんを捜索する。彼女は勇敢に戦って僕を守ってくれた恩人、いや恩獣だ。  曇り空はいよいよ光を遮り、風も容赦なく吹き荒れたかと思うと、砂漠に珍しい雨が降り始めた。我々の心の内を示すかのように雷も頭上に轟くのだ。 「カクさん……スケさんを守っていたのか」    カクさんは荒れ地の窪みで、ボロ雑巾のようになったスケさんに覆いかぶさり、風雨から遮っていたのだ。   スケさんは、この旅の目的……デュアン総督のミッション……男の僕が特別に女と同格に認めてもらうためのキーアイテムでもあった……巨大なサバクオニヤドカリの目玉を大事そうに抱えていた。彼女が重い目を開ける。 「オカダ君、これを持っていくのよ……」 「スケさん……いくらなんでも、がんばり過ぎだ」    長命のアニマロイドといえど、生体的なダメージが大きすぎると活動を停止してしまう。 「デュアン総督から貰った武器だけでは到底無理よね。まあズルをしたけどサバクオニヤドカリの目玉をゲットした事実には変わりないわ」    スケさんはカクさんに言った。 「これからも私の代わりにオカダ君を守って頂戴」 「そんな……まだ修理すれば大丈夫だぜ」 「この星の技術力では、まだ私を直すのは難しいでしょう。インディペンデンス号に戻ることができれば何とかなるかもしれないけど、間に合いそうもないわね」 「心配するな、きっと助けてみせる」  僕とアマゾネス達は細い雨が降りしきる中、スケさんを抱きかかえて、スタリオンの後部に乗せたのだ。

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