ケプラー22b | 第9章 城塞都市
印朱 凜

アルタエア

 オーミヒコネ城の城下町にてカクさんを後ろに従えて歩く。城塞は現在機能しておらず、もっぱら観光地の役割を担っているようだ。城門から続く一本道には、様々な土産物屋が立ち並び、人通りも多いんだな。  ヒコヤンの居場所を探る、聞き取り調査には事欠かないであろう。よく見ると女性達に混じって、ちらほらとB級奴隷である男も働いている。 「ヒコヤンが今どこにいるのか、誰に尋ねようか」  カクさんが答える。 「警察に訊くのが最も手っ取り早いが、アディーが担当しているしな……」  いつの間にやら人々に遠巻きにされているのに気付いた。 「あっ! 地球から来たオカダさんだ」 「新聞にも掲載されていた人よ」  主婦からセーラー服、粋なお婆さんまで集まって、一瞬にして人だかり。  そこにTV局の中継車までやってきた。フチなし眼鏡にグレーのスーツを着た女性レポーターが、ぐいぐいと人を押し退けてくる。 「地元TV局のKHKです。オカダさん、アポなし取材に応じてもらえませんか?」 「逃げよう! カクさん」 「おう! 調査どころじゃなくなってきたな」  人ごみを掻き分けてダッシュする。どこもかしこも女だらけ。しかもスタイル抜群の美人ばかり。美人は三日で飽きるという有名な言葉があるが、こうなると逆に太めの短足で不細工な女の子に会いたくて仕方がない。そういう娘は、なんだかホッとするというか安心できるのだ。だがしかし、ここケプラー22bでは、そういったタイプの娘は希少で滅多にいないのであった。  なるべく人のいない裏道や路地を選んですり抜ける。振り返ると、まだ追いかけてくる根性のある女性がちらほらいる。何で? 陸上部のアスリートなのか? すごいスタミナだな。 「オカダさん、一度地球の方とお話ししてみたかったのです! 一緒に写真を撮りましょう! ブログにアップします」 「私と付き合って下さい! すぐにでも入籍しましょう。婚姻届も持参してきました。私、有名人になりたいんです!」 「ひええ! オーミモリヤマ市民以上に情熱的な女の子達だ。カクさん、女好きのお前が付き合ってやれ」 「ガツガツした女はイヤなんだよ。俺は女の子の尻をずっと追いかけ回したいんだ」  数キロは走っただろうか、やっと人気のない道に出た。息を整えた後、目の前にあるレストラン風の建物のエントランスに座らせてもらう。ツタのような半透明の植物が一面に絡まった店から出てきたお婆さんに、とりあえず訊いてみた。 「すみません。お尋ねしますが、有名な|装甲殻類《カルキノス》ハンターのヒコヤンの事を何でもいいから、ご存知ないですか?」 「……どこのB級奴隷だい? 見かけない顔だね、口のきき方に気を付けな! ヒコヤンならあのプラモデル屋の近くに住んでいるはずだよ」 「ええっ!」 「ウソだろ!」  僕らは顔を見合わせて、偶然の導きに運命を感じ取ったのだ。

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