美しさゆえに

森の精霊の誕生を、生中継で見ることは、この惑星の人々にとっては大きな娯楽の一つだ。 森の精霊は、森の中、光につつまれ次第に姿を現す。その姿はこの惑星に一つの新しい美の革新をもたらすほどの美だ。  魔術師は、ティータイムに精霊が生まれる中継を見ていた。 「美しい。この美しさに比べれば、私が魔術でなしてきたことなんて何の意味もない。」 魔術師はティーカップの水面を見ていた。そこには中継映像にいる森の精が映っていた。  森の精霊は魔術師に語りかけた。 「あなたと取引をしに来たの。」 ティーカップを見ながら魅了され虚ろな表情をした魔術師は答えた。 「私は別の星から来た新種の精霊なの。私はこの星の生命を壊してしまうかもしれない。それでも私は美しい存在なのかしら。 「何かを出だすには対価が必要なのです。私はあなたにすべてを差し出す準備があります。」 そう言うと魔術師は何か呪文を唱え始めた。  異星の精霊は魅了された魔術師が自分自身の命を差し出すために呪文を唱えていると思いその呪文を聞いていた。  だが、しばらくすると精霊はティーカップの中から身動きできなくなってしまった。 「どういうこと?」  異星の精霊があせって叫ぶと、魔術師は満足そうにカップの紅茶を飲み干した。  

ブックマーク

この作品の評価

0pt

Loading...