弱者の猫カフェ

みさの話を聞いて、特別なカフェという言葉の意味を理解した。  このカフェではシングルマザーやニートを多くスタッフとして雇っていること。  カフェの猫は全て元捨て猫だということ。  そうとは知らず、何気なく利用し、カフェの事情を知ってからはもっとこういう取り組みが広がれば良いと思っていることなどを語った。  最初に猫に雑菌が入らないようにと、手洗いをする。  ハンドソープの泡がオーロラに光る。  禁止事項をひととおり聞いて、ペットフードのカリカリを一つ買っていざ猫たちのもとへ。みさはキジの羽根を借り、ふざけて私に羽根をブラブラさせるので、フーッと声を出して軽くはたいて猫っぽく振る舞った。  店内の猫をざっと数えてみたが、8匹くらいか。  営業時間は朝の10時から夜の10時まで。  てんでばらばらに散った猫は思いのままに生きている。  カーペットにお腹を見せたリラックスした姿勢でくつろぐペルシャ猫。  突然、アクセルが入った白い猫。  電光石火の早さで走る猫にぶつからないよう避けるのが大変だ。  みさが羽根を自在に動かし、走っていた白い猫を止まらせ、彼に獲物を追わせながら言った。 「何度もここに来てるから猫の名前もほとんど覚えたかも。白と黒のブチ模様は牛若ちゃんで、顔の部分の毛が両側茶色でまんなか白くてパンみたいな模様だからしょくぱんみみ、あの猫は・・・あー、わからない。店員さん、あの子名前なんだっけ?」 「黒糖です」 「そうそーう、インパクト強いのになぜか忘れてた」  みさが黒糖を撫でるのを眺めていると、銀色のポニーテールの店員が灰色の猫を抱いた状態で近づいてくる。 「この子女性にけっこうなつくんですよー」  そう言いながら、スッと私のひざの上に猫を置く。  名札にはルゥリィと書かれている。  うるるっとした目で私を見つめ、ひざを揉むようにする。くすぐったくて、悶えてしまう。  ルゥリィの体をマッサージしてみよう。首筋や背中を撫で、肉球をにぎにぎした。うっとりと目を閉じ、安らいだ顔がかわいい。  カリカリを与えると、これがまたおいしそうに食べやがる。  みささんはというと、すごく人見知りする茶色の猫に終始ずっと無反応で対応され、さみしそうな面持ちをしていた。  みさは無念なため息をして、手の上から猫を降ろした。  それから私の元に歩いてきた。  みささんはなかなか人懐っこい猫に出くわさず、抱っこをしても嫌がったり、怖じけて鳴かない猫にぶつかりやすい、猫運が悪いニャとぼやき話をした。

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