ケプラー22b | 第5章 デュアン総督
印朱 凜

パノパエア

 僕は市長室に置き去りにしたミューラー市長の事が気になった。 「ミューラー市長は、クローゼットの中に隠れていたから爆発があっても大丈夫だったわ。さすがにオーミモリヤマ市のトップだから戦闘員からもVIP待遇のはずよ」  スケさんの言葉に僕は胸をなでおろした。  シュレムの胸をなでおろしたのはカクさん。  首の縄を解いてもらう時にドサクサに紛れてセクハラしたのだが、当然許してもらえず逆に縄で首を絞められたのだった。カクさん、君はブレない奴だなぁ……!  病院方面まで退避しようと、スタリオン高機動車をスケさんが走らせたが突如、急ブレーキがかかった。 「ひゃぁ!」  車内でシュレムがバランスを崩して転がり、僕に上に覆い被さってきた。  こ、この顔の上にある温かな二つの柔らかいモノは……。 「オカダ君、俺と代われぇぇ!」  カクさんが意味不明の奇声を発した時、車外から拡声器による女の声が響いてきた。 「地球からの客人よ。この辺で一旦、休戦だ!」    まだ、所々にいる戦闘員を指揮する謎の女性が現れる。彼女は大きな自動車を進行方向に対して直角に停車して、完全に道路を塞いでいたのだ。   狙撃に注意しながらハッチから外の様子を伺う。声の主は軍帽を目深に被ってはいるが、金髪の美女であることは明白だ。タイトスカートから伸びる足は、むっちりと太長く思わず視線を奪われてしまう。   この惑星のトップに君臨する女性、ケプラー22b総督府の主、デュアン総督は正に女王と呼ぶにふさわしい。今までに見た、どの女性よりグラマラスで妖艶だ。それに見合う矜持をも過不足なく備えているに違いない。僕はアメリカ雑誌のグラビアページを飾るプレイメイトを連想した。  古い型のシボレー・コルベット・スティングレイ、多分C3型のTバールーフを外し、屋根から身を乗り出す総督。地球から持ち込める訳がないので、外観のみ完全コピーした車だろう。   つまり……完全オーダーメイドの贅沢な一台。こんなマネができるのは、恐らくこの星でただ一人であろう。  ブロンドの女王蜂は、結構いい趣味をしているじゃないか。気を付けてかからないと|一刺し《スティング》されそうだが……。

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