怪盗サバビアンコの冒険 | 怪盗サバビアンコ 第一章「白雪姫の林檎 前編」
月天(るあ)

怪盗サバビアンコの冒険 第五話

 カツオ刑事は自信満々に、ゴリラのように分厚い胸板を見せびらかすように胸を張った。 「私はカツオと申します。刑事をやっておりまして。貴方方は?御家族で御旅行ですか」  鮪とタコが家族であるはずもないのに、そんなことを言うって事はきっと、そう信じたいのだろう。  そう言う所が、刑事としては相応しいのか、サバビアンコは首を傾げたい所ではあったが、此処はその勘違い、思い込みを適当に利用しておく。 「ええ。此方の方面へ」 「刑事さん、どんな御用かしら。私達の様な旅行客に声を掛けて来るなんて」 「実は私、怪盗サバビアンコの捜査を担当しております」  カツオ刑事は、矢張り胸を張って言った。 「白雪姫の根城に今日、サバビアンコが現れると、予告状が届きましてね」 「あら。それは恐い」 「恐くはありません。このカツオ、全力で貴女をお守りしますよ、Mademoiselle。ですから何か御存知の事があればお話を聞かせ……」 「ねぇ、刑事さん」  カッコつけて跪くカツオに、タコリーヌは、ふぅ、と葉巻の煙を吹きかけた。 「私達は一般の市民なのですよ。余計な事を言って、サバビアンコに狙われるのは御免ですわ。サバビアンコは、命は盗まない痛快洒脱な回答と言う事ですけれど、そんなの、分からないじゃない」 「そ、それはそうですが……」

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