怪盗サバビアンコの冒険 | 怪盗サバビアンコ 第一章「白雪姫の林檎 前編」
月天(るあ)

怪盗サバビアンコの冒険 第四話

「いつでも一緒にいるなんて愛じゃ無くて金魚のフンなんじゃないかしら」 タコリーヌは葉巻の煙の向こうでそんな事を言った。 「だから追い掛けて来る男って言うのもどうかと思うのよ。私はね」 カツオ刑事の事を言っているらしい。 まぁ、彼は仕事なのだから仕方ないだろうとも思うが、 「じゃあ、きっと君の好きな子って言うのは、勝手にしやがれ、みたいな男だね」 と、サバビアンコは――と言っても今はマグロの姿であるから――恋人ではないような、素知らぬ顔でそんな事を言った。 タコリーヌは、髪と言うか触手をぬるぬると動かしつつ、真っ黒な目をきょろきょろと見開く。 「何、それ」 ジェネレーションギャップだった。 サバビアンコとしては、ルビーの指輪とか、そう言う曲の話を続けたい所だったが、口を噤む。 更に、食物連鎖の下位であるプランクトンが実は地球上では重要な生き物であるように、ある意味では食物連鎖など人間が付けた上位下位に過ぎず、同様に不要な醜いものであるかのように比喩とされる金魚のフンだって出なければ困るんだろうな、とも思ったが、品の無い話なのでやめておいた。 女性には常に話題に気を配らなくてはならない。 カツオ刑事が近付いて来て、警察手帳を見せて来る。 「おお、何と美しい女性……」 タコリーヌを見るなりそんな事を言って来るのだから、変装をしていても彼女を好きになる辺り、カツオ刑事は生まれ変わってもタコリーヌに恋をするのだろうとサバビアンコは思った。 そしてフラれ続けるのだ。

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