怪盗サバビアンコの冒険 | 怪盗サバビアンコ 第一章「白雪姫の林檎 前編」
月天(るあ)

怪盗サバビアンコの冒険 第三話

「それにしても、そろそろ出掛けなければ、挑戦状を出した時刻に間に合わないかな」  サバビアンコはゆっくりと腰を上げた。 「タコリーヌ、君と話していると楽しくて時間を忘れてしまうんだ」  そして自室に戻って簡単な変装を施す。  サバの頭だったのが、マグロの頭になり、其処に立ててあった黒い仕立ての上着の袖に腕を通すのだった。  タコリーヌはその八本の吸盤だらけの足、いや、髪を纏めて付いて来た。  艶々と光る真っ赤なドレスに身を包み、一路、列車を目指す。  見送るように、黒猫のレモンがにゃあと鳴いた。  彼らが何時も乗るのは金色の、特急列車である。  下半分に蔦の絡まる様な装飾がある。  マグロとなったサバビアンコと、タコリーヌは、予約を取った特別客室に先ず向かった。  特別客室はベージュを基調として茶色の木で作られた向かい合わせの席があり、一等落ち着く空間であったので、サバビアンコは仕事で何処かへ向かう時は必ず此処を予約しておいた。  この、列車が線路の上を行くときの音がサバビアンコは好きだ。 「トレビアン。今日もこの列車で出される料理はとっても美味である」  サバビアンコが言いながらナイフとフォークでフィレ肉を切っていると、前に座ったタコリーヌはドレスから出た白い足を組んで太腿を晒しながら葉巻を燻らせた。  其処に見事なカツオが通りかかる。  頭はカツオ、身体は濃紺スーツ、服の上からも分かる立派な胸筋である。

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