怪盗サバビアンコの冒険 | 怪盗サバビアンコ 第一章「白雪姫の林檎 前編」
月天(るあ)

怪盗サバビアンコの冒険 第一話

「人間は行動を約束することはできても、感情は約束できない。  自己欺瞞なしで永遠の愛を誓うものは、愛情の見せかけを永遠に約束するものだ。  Friedrich・Nietzsche」  サバビアンコはその日、目覚めにニーチェの言葉を思い出した。  それは全世界各地にある、サバビアンコのアジトの一つ。  日本では令和と言う新たな元号を迎え、一カ月のベッドの上での事だった。  隣に一人の女が眠っている。彼女は頭がタコの、サバビアンコのパートナーであった。 「この世に永遠の愛なんてある訳無いでしょう」  と、彼女が寝入りに昨夜、言った事が今朝の目覚めの際の思考の理由だ。 「あるさ。私がお前を永遠に愛しているのだからね……」 「無いわ。だって私があなたを永遠に愛し続けるなんてありえないもの」  実に彼女らしい回答だった。  然し少なくとも今朝も彼と彼女は愛し合っている。  この事実さえあれば今のサバビアンコには充分なのだ。  怪盗である己が永遠の幸せなどと宣うのは片腹痛い。  サバビアンコは一人そう思ってベッドを出る。  音を立てないのは得意だった。  昨日無理をさせたからか、パートナーはぐっすり眠っている。  サバビアンコは先ず起きたら鯖その物である顔を洗い、くるくるのパスタのような自慢の髭を整える。  それからたっぷりの時間を取ってベーグルを用意し、食卓に着いて朝食を摂る。  そして、昨日自分が送った挑戦状が、どう取り上げられているかを確認するのだ。  別段、目立ちたがりと言う訳ではない。  この挑戦状を受け、警察がどう動くか、推察する為の道具とする。|

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