幕間①デートは進み――――

 デートは進み―――  ―――道具屋―――   「投擲用の武器ですか?」  「あぁ、1つは持っていたほうがいい」とベルトは短刀を物色し始める。  「俺も一通りの武器は扱えるが、主要武器は暗器だ。指導を続けるには、いずれは必要になってくるだろう」  「最も――――」とベルトは付け加える。  「騎士のお前に、俺の邪道な剣術を教えるわけにはいかないからな」  ベルトが見せたはにかんだ笑みにシルフィドは反射的に動いた。  なんの躊躇もなくベルトに抱きついたのだ。  予想外の動き。珍しく虚を衝かれたベルトの顔には驚きの表情が見える。  対してシフルィドと言うと――――  「ししょーが、そこまで不肖の弟子である私を想ってくださったとは……感涙の極みです!」  キラキラとした瞳には不純な感情が見えなかった。  「いや、わかったから離れろ」と狼狽するベルト。  しかし「いえ、離れませぬ。一生、ししょーについていきます!」とシルフィドは力を込めていく。  「そういう事じゃない!」  ・・・  ・・・・・・  ・・・・・・・・・  「あれ? 意外と良い感じですね」とノエル。  「でも、あれはくっ付き過ぎだと思います」とメイル。  「あら、あれくらいなら、まだスキンシップ……いえ、くっ付き過ぎね」とマリア。  3人は、それぞれ三者三様の反応を見せる。  前回、尋常ではない怒りを見せていたノエルとマリアだったが、怒りのまま接近して道具屋に入った所で冷静さを取り戻したのだった。  道具屋内部で棚1つ向こう側にはベルトとシルフィドがいる状態だ。  「でもマリアさん」とメイル。  「んっ?」と小さな声で返事をするマリア。  「意外でした。マリアさんが他の女性とベルト義兄さんが2人きりで遊ぶを許すなんて……」  「まぁ、私たちが見張っているから正確には2人きりじゃないわよ」と苦笑しながらマリアは――――  「そうね。私も不思議に思うわ。自分でも独占力は強い方って自覚はあるのだけれども……けど、可愛い妹分が頑張っているなら手を貸してあげたくなってくるじゃない?」  「……マリアさんの、そういう所が素敵だと思います」  2人共、朗らかな笑みを浮かべる。すると――――  「しー、どうやら移動するみたいですよ」  ノエルの言うとおり、2人は支払いを済ませて店を出るところだった。  すかさず、3人は後を追って店の外へ。  暫くベルトとシルフィドはぶらりと歩き始める。  「どこへ向っているのでしょう?」  2人は目的もなく、歩いているように見える。  「ただの散歩じゃないかしら? 込んだ場所から離れていってるみたいだもの」  「確かに、マリアさんの言うとおりポイですが……道具屋で買い物して、ただ散歩と言うのも……」  ノエルは、やや不満げだった。  しかし――――  「お2人とも、足を止めて――――あそこは何でしょうか?」  そうメイルが指差した先には、なにやら一軒家が見える。  一見すると平凡な民家。しかし、よくよく見ると周囲の清掃が行き届いていて清潔感がある。  それに、3人の位置から文字が読めないが、何やら看板のようなものが見えている。   「ベルト義兄さんたち、中へ入っていきます」  小走りで近づくと看板の文字が見えるようになってきた。  『甘味処』  どうやら、デザート専門的らしい。 

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