幕間① 実妹は恋愛脳だった

「シルフィドさんは兄さんの事が好きなんですよ!」  「いや、それはないわね」とマリア。  「……それは違うと思うのだが」とベルト。  「どうしてお2人は、そんなに鈍いのですか!」  ノエルは珍しく興奮していた。  思春期のお年頃……普段は学園の寮生活。男性に触れる機会は少ない。  そんな空間での女性たちは恋愛話……つまりは恋バナが異常発達している。  この手の話題に餓えている獣の如く、どこまでも純粋で、真っ直ぐで――――つまり愚直。  ベルトの実妹は恋愛脳だった。  「いや、流石の俺でも好意を抱いている女性くらいは判別できるぞ。俺はモテるからな」  「また兄さんは、妙な所で冗談を……」とノエルは言葉を止めた。  なぜなら実兄の表情は真顔だったからだ。  ベルトはどこまでも本気だった。それを血の繋がりで察したノエルは衝撃を受ける。  「まさか、親族から聞きたくない言葉3位に入りそうな『俺はモテるからな』をベルト兄さんから聞くことになるなんて……」  ノエルは頭を抱えた。  しかし、事実――――ベルトはモテるのだ。  なんせ、世界を救った勇者パーティの1人。 紛れもない英雄だ。  さらに切った張ったの道中、女性を救い好意を持たれるのは日常茶飯事。  それをイチイチ、対処していけば切りがない。  そのため、女性の感情を察しない鈍感力をベルトは身に着けていたのだ。  「でも、それはおかしいわ」とマリアが言う。  「貴方たちも知っての通り、シルフィドはナルシストのジゴロで女泣かせの王子様を素で行く女の子よ。今更、とうが立った男性に心が奪われるかしら?」  「そのとうが立った男性に心を奪われたのは、どこの誰ですか!」  ノエルのツッコミにアワアワと動揺するマリア。  しかし、鍛えられた鈍感力を持つベルトは――――  (一体、誰の事だろうか? ……まぁ、俺には関係ないか)  と首を捻っていた。  「いいですか? 思春期の女子と言うのは、同世代の男性よりも大人の男性に魅かれるものなのです」  「そうかしら? 確かにそういう子もいるかもしれないけれども……思春期の子の中には、必要以上に男性を汚らしいと感じて、男性よりもカッコの良い女性に憧れる子も少なくとはないと思うのだけど?」  ノエルは「はぁ~」とため息をついて肩をすくめて見せる。  こいつ、わかってねぇなというアクションだ。  「なによそれ? 貴方自身、私の事をお姉さま、お姉さまなんて、完全にスレイブ堕ちしていたじゃない!」  「――――ッ!? そ、それは、マリアが本当のお姉さまになると思っていたからであって……」  ノエルの言葉に一瞬、意味がわからなかったマリアだったが……  その真意を悟ると顔を赤く染めた。  「兎に角、ベルト兄さんは一度、シルフィドさんとデートに行くべきなのです!」  どうして、そんな結論になった?   ベルトはそう思いながらも逆らうのを諦めた。

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