幕間① これまでのあらすじと現在

  1ヵ月後にベルト対レオン戦が行われる。  そう闘技場の使者から宿舎へ知らせが届いた。  しかし、忘れてはならないのは、ベルトたちの目的はレオンと戦う事ではないという事だ。  目的は人工娯楽都市 オリガスの地下深くに広がるダンジョンの成れの果て、第五迷宮の調査である。  冒険者ギルドが掴んだ情報は、そこに魔王軍が潜んでいるというもの……  すぐさまギルドは第五迷宮の調査を都市運営に打診したのだが、運営側は難色を示す。  そこはギルドの威光が通じない新興都市。強制はできない。  そこで白羽の矢が立ったのが最強の暗殺者であるベルト。  ギルドはベルトに第五迷宮の調査を強制的に依頼。  第五迷宮へ入れる方法――――  闘技場で優秀な成績を上げた2名。  それも数ヶ月に1度の神聖な儀式として迷宮に足を踏み入れる事が許可される。  そのため、ベルトは闘技場で戦う事になった。  そんな彼の前に現れたのは、かつてベルトに敗北を与えた勇者パーティの初期メンバーであったのがレオンだ。  かつての仲間であり、因縁の相手。  ベルトはリベンジを誓うのであった……  「そのはずだったのだが……解せないなぁ」  ベルトはベッドで仰向けになり呟いた。  何が解せないのか? レオンと戦うまで1ヶ月という期間だ。  「1ヶ月……結構な時間だ」  地下に魔王軍が潜入して、何かを企んでいるとしてもギルドから何も通達がないのはおかしい。  俺たちとは違う別働隊が動いているのか? そうだとしたら、どうやって第五迷宮に潜り込むのか?  少なくとも、ベルトには想像がつかなかった……  そんな思考に耽っている時だった。  だーんと部屋の扉が開いた。 それも勢いよく!  「ししょー ご指南一手です!」  入ってきたのはシルフィド・パラナイト。  冒険者ギルドに取って変わるためにマリアは作っている団体。その1人目の少女だった。  はて、ベルトが留守中に彼の店の留守番を任せられているはずの彼女がなぜ?  実はベルトたちは、レオンとの戦いまで1ヶ月の期間、オリガスから帰還することになったのだ。  つまり、ここはベルトの部屋である。  ベルトは朝日が昇るよりも早く起床する。  しかし、シルフィドはそれよりも早かった。  日が昇る様子もない時間帯。 真っ暗な中、2人は外で対峙する。  シルフィドが手にしているのは訓練用の剣。  木刀よりも柔らかく、人に接触すると刀身が撓 り、痛みを軽減する品物だ。  もちろん、切れ味は皆無だ。  最初に動くのは、当然だが格下であるシルフィドだ。  以前以上の速さ。加えて予備動作を可能な限り削ったノーモーション。  横薙ぎの一撃をベルトは避けた。  紙一重の回避。  避けられたシルフィドにしてみたら、肉体をすり抜けたのかと錯覚するほどだった。  空振りによって、シルフィドの両腕は横に真っ直ぐ伸びた。  それを接近したベルトは彼女の肩と二の腕を掴むと、後方へ押しのける。  それがどういう力が伝わったのか、シルフィドの体が回転する。  ベルトの投げ技。  しかし、シルフィドも慣れたもので、自ら体を捻り着地する。  だが、着地を狙われた。  片膝を突いたシルフィドの顔を何かが叩いた。  それは寸止め。直前、止められたベルトの拳圧から生じた風。  それが恍惚すら感じるような痛みを与えたのだった。

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