ケプラー22b | 第2章 ファースト・コンタクト
印朱 凜

プロセルピナ

 それにしても本当に良かった……この宇宙の果ての植民惑星に人類の移住は成功しているみたいだ。  女の子は、猛獣の姿のアニマロイド達に怯えているのかと思った。曲りなりにも人間の僕ならば大丈夫かな? 二頭を一度遠ざけて、171センチの身長を屈めて笑顔で話しかける。 「君のお父さんやお母さんは? 他の人達はどこにいるんだい?」    すると女の子は黙って病院の方を震える指先で示したのだ。  突如、自動ドアの正面玄関が開き、銃を抱えた看護師姿の女性が、勢いよく飛び出してきた。 「マリオット、そこから逃げなさい!」    いきなり白衣に似合わない無骨なM4カービンをスケさんとカクさんに向かって発砲してきた。腰だめで、暴れる銃の反動をうまくコントロールしているようだ。焼けた薬莢が2、3本、足元に転がりアスファルトに跳ねる。 「わーっ! キャーッ! ひーっ!」    僕の背後に位置する二頭は気おされて、ハンターに狙われた野生動物のように一目散に逃げ出したのは言うまでもない。威嚇射撃なのに情けないと思ったが、無理もないか。  地球で見るような最先端のデザインではなかったが、清潔そうな白衣を身にまとった看護師さんは、スラリとした高身長で20歳前後。短めのワンピース状のスカートから伸びる両脚は、膝丈までの白いストッキングに包まれていた。大きく脚を広げていたので美しい絶対領域が露わになっている。 「おいおい、その物騒な銃をしまえよ。看護師にケガをさせられるなんて、今まで聞いたこともないぜ」  そうは言ったものの、2人目のケプラー22b人、もとい開拓移民に出会えて嬉しさもひとしお! しかも見たこともないような透明感のある極上の美形。……白衣の天使は600光年先に本当にいたんだ!   アップにした髪が良く似合っている。ほんのちょっとスパイスを効かせたようなツリ目の娘に、僕は両手を上げて降参していたが……顔が緩んでデレデレ状態だった。  彼女のふっくらとした胸元で、上下に躍る名札には(シュレム)という名前が印字されているようだ。そばに来た時、確かに見えた。

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