網渡りの猫に問う(書簡)

 加峰宗司様  こんにちは。  いつも掲示板でお世話になっている粒餡こと円谷杏子です。  今日はどうしても、加峰先生に直接伝えたいことがあったのでメールさせていただきました。  内容は「加峰宗司先生の一ファンによる自白」となっております。  意味不明ですよね、もちろん、最初から説明させていただきます。  ……加峰先生は昨夜、ご自身のホームページ「謎之羊羹」にて、試される大地にある学校の名前をお書きになられました。  それも、不思議そうに。「綾月女短……?」と。  それを見た私も疑問符だらけでした。    まず、綾月女短とは十中八九、綾月女子短期大学のことだろうと考えました。なにを隠そう、私はそこに通う学生なのです。他に似たような短大名もなかったので、間違いないと思いました。  しかし、それでも疑問は残ります。  何故、私が在籍する短大の略称が「謎之羊羹」に記載されているのか。  もしかしてなにか講演会などのイベントがあるのかもと、期待しながら学校行事を調べました。……そういった記述はどこにもなかったので、とても残念な気持ちになりました。(いつか北海道に来てくださいね!)  どこかに加峰先生と綾月女子短期大学の繋がりが記されていないかと、探しました。  結論からいうと、私にはその繋がりを見つけることができませんでした。お恥ずかしい、ミステリ好きの名折れもいいところです。  掲示板の様子を伺う限り、加峰先生の作品の読者はとても優秀です。一週間も経てば、いえ、三日もあればきっと、この謎を解いてしまう人が現れることでしょう。私が通う短大の話なのに、この謎を一番乗りで解けないのはなんだかとても、悔しい。    この想いを後輩に伝えたところ、なんと即日、後輩は名探偵な友達とともに答えを見つけてくれたのです。  私が見つけたわけではないですが、自分に縁のある人たちが謎を解いてくれたことに私は狂喜乱舞してしまいました。彼女たちにはいつか直接お礼をいいたいと考えています。  ……まさか「謎之羊羹」のリンク先がヒントだったとは。  加峰先生にはこれだけで伝わると思っていますが……正解、でしょうか?  これが正解と信じ、私は続けて自白したいと思います。折角なので傍点付きで。  《《綾月女子短期大学付属図書館に加峰先生の》》『《《恩は仇で》》』《《をリクエストした犯人は私です》》。  動機は、加峰先生のファンを増やしたかったから、です。学生全員に私が本を貸すわけにもいかず、布教するにはこうするしかないと思った次第です。  ちなみに高校生の時も同じようにリクエストしていたので、加峰先生の本は私の故郷である離島の図書室にも所蔵されていたりします。    事の原因がまさか自分だったとは考えもしませんでしたが、日常の謎を実体験できたようで、とても楽しかったです。  そして、これで先生の疑問を解消することができたとしたら、この上なく幸いです。  以上、拙い自白でした。  話は変わりますが、新作は来月発売ですね。今からとても楽しみです。書店に走る準備は万全です。    それでは長文乱文、失礼いたしました。  加峰先生の益々のご活躍をお祈りいたします。                                 円谷杏子

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