破壊

   くるりとベルトの体が回転する。  |下段後ろ回し蹴り《フグトルネード》。ベルトの靴裏が『不破壊』の脛(すね)を直撃した。  くるり――――  さらにもう1回転。  |裏拳打ち《バックハンドブロー》  くるり――――  さらに回転。  ローリングソバット。  くるり――――  ローリングエルボー。  くるり――――  今度は回転系の技ではなかった。  都合4度の回転で十分に遠心力を得て、真っ直ぐに突き出したのは掌底打ち。  『不破壊』の顔面を打ち抜いた。  高速で放たれるベルトの技と『不破壊』の肉眼では捉えられない。  (嗚呼、こういう技を打たれたのだな……)  打たれた後に想像することしかできない。  だが、徐々に想像力は具現化していく。  (次に来る打撃が読めてくる)  手刀が『不破壊』の肩口に叩き込まれた。  振り落とされた手刀が硬く閉じられ――――  今度は上に跳ね上げられアゴを叩く。  ――――読めていても反応できなければ意味がない。  (――――そうではない!)    するりと『不破壊』は腕を伸ばす。  奇跡か? 必然か?  『不破壊』の豪腕はベルトを捕縛した。  ベルトの首裏を片手に握った。  (この好機! 逃がさぬ!)  ベルトを一気に引き寄せ|緊急避難《クリンチ》。  体を抱きしめ相手の攻撃を伏せぐ拳闘術の技。  しかし、これは拳闘ではない。組み付いた状態で危険な投げ技も使える。  当然、『不破壊』もそのつもりで引き寄せようとした。  だが――――  不意に抵抗していたベルトの圧力が消える。  スッカっと空振りとしたかのような感覚が『不破壊』を襲う。  行き場を失った自身の力が『不破壊』のバランスを大きく崩し――――  それと同時にベルトの腕が『不破壊』の腕に巻きつかれる。  |関節技《サブミッション》  真っ直ぐに伸びた腕。その肘部分にベルトの腕が添えられ――――  抵抗する間もなく――――  ゴッキッと何かが折られた音が闘技場に響いた。  腕が折られると、人は思考が痛みに支配される。  『不破壊』と言えど、その例外ではない。  折られた腕を押さえ、痛みに耐えるように前のめりになってく――――  そのタイミングだ。  無防備になった『不破壊』の顔面を下からベルトが蹴り上げた。  防御も回避もできるわけもなく――――  ついに――――  『不破壊』が破壊された。

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