ぼっち姫は目立ちたくない! | 第四章:ぼっちな姫と小さい奴ら。
monaka

ぼっち姫、トラウマを植え付ける。

「こんな事になるとは思わなかったのであるこんな事になるとは思わなかったのである我のせいじゃないのである許してほしいのであるこんな事になるとは……」 「ら・い・お・ん・ま・るぅ~?」 「は、はい! なんであるか!?」  ちょっと話しかけただけでこの反応は酷くない? 「なんでみんなこんな静かになっちゃったの? 私何かしたカナ?」 「そ、そのような事を、我聞かれても……その、あの……や、やりすぎ……では、ないかと……」  ライゴスがこちらと目を合わせる事なくだんだん小さくなる声でそう教えてくれた。  もう一度人々の顔を見る。  完全に恐怖の対象が自分に向いて居る事を感じた。 「……やべぇ。やっちまった」 「しょ、正気に戻ったのであるか!?」  ライゴスが軽く涙目になりながら喜びの声をあげた。 「ご、ごめん。なんかこう、テンションが上がりすぎて……」  その時だ。  ぼごっ! と、再び地面からライノラスの頭が生える。  俺はしゃがみ込むようにその顔に近付き、小声で問いかけることにした。 「なぁ、まだやる?」  ライノラスは頭だけ地面から生やした状態でぶるんぶるんと首を左右に思い切り振った。 「プリン仮面様許して下さいプリン仮面様許して下さいプリンかめ……」 「分かったからそのプリン仮面ってやめろ」 「ごめんなさいごめんなさい生意気な事いってごめんなさい殺さないでください」  俺はなんだか面倒になってきたのでライノラスの角を掴んで地面から一気に引き抜く。  そして。 「マリス。首輪食っていいぞ」 「う、うわぁぁぁぁ!! なんだこれ!   なんだぁっ!?」  バリ、ボリ、バリ……。  人々は事情を知らないので俺の覆面がライノラスの頭をバリボリ食っているように見えたのかもしれない。  あちこちで短い悲鳴があがっていたが今更気にしてもしょうがない。  というより、俺はもっとほかの事を気にしなきゃならなかった。 「せ、セスティ殿! 顔っ! 顔っ!」  ライゴスが何かごにょごにょ言ってる。 「顔がどうし……あっ、あぁっ!!」  俺は自分の顔をぺちぺち触ってみて気付いた。  俺の覆面になっていた部分がライノラスの首輪を食べているわけで、今俺の顔は民衆に晒されてしまった。  やめろこっち見んな!!  俺はその場から脱兎のごとく逃げ出した。  思い切りジャンプしてその場から離れ、先ほどまでいた屋根の上に避難すると、人々からは死角になる場所まで移動して、やっと一息をつく。 「セスティ、そいつどうするのじゃ?」 「えっ?」  あまりにテンパっていたのでついマリスがライノラスに噛みついた状態のまま、一緒に引っ張ってきてしまった。  めりにゃんに言われるまで気付かないなんてよっぽど焦っていたみたいだ。  ……だけど、よく考えたらアシュリーからもらった薬飲んでるんだしそこまで慌てる事もなかったかもしれない。  どこまで軽減効果があるか未知数だから慎重になるくらいでちょうどいいかもだけど。  やがてマリスが首輪を食い尽くし、ペッ。とライノラスの頭を吐き出す。 「ぷはぁっ! いったい、今のは……ん? もしかしてお前がさっきのプリンかめ」 「セスティだ! 覚えとけ」  俺がギロリと睨むとライノラスは「は、ハイッ!」と怯えた後、自分の首輪がなくなっている事に気付く。 「な、ななな……いったいどうやって……? いや、そういえばライゴスも首輪をしていなかった……」 「まぁ方法はどうでもいい。これでお前は自由になった訳だが、どうする? もしもお前が金輪際人間に危害を加えないって言うなら見逃してもいいが、そうじゃないなら殺すよ? 今殺す。すぐ殺すから」  ライノラスは、「いや、もういい分かったから!」とすぐに両手を上げて降参のポーズ。 「今の魔王に命令されてやってた事だし、もともとあの野郎は気にいら……って、え? もしかしてそこに居るのは……」 「久しぶりじゃのうライノ」  めりにゃんがうずくまっているライノラスを腕組みしながら見下ろす。 「な、何故ヒルダ様がこんなところに……あっ、そうか……そういう事だったのか。俺はこの前ライゴスと戦って途中で引き上げちまったけど、ボアルドや大勢の魔物が全滅したって聞いてあり得ないって思ってた。だけどヒルダ様がそっちに居るなら納得だぜ」 「ほんと今の魔王は人望がないようじゃのう」  ヒルダが額に手を当ててやれやれという感じに頭を横に振った。  元魔王として現魔王に対し何か思う所もあるのだろう。 「それで、ライノラスよ。お主はどうするのじゃ? ライオン丸のようにこちらに付くか? それとも……?」 「あー。勘弁してくれ。俺は戦うのは好きだけどヒルダ様と戦う程馬鹿じゃねぇよ。命が幾つあっても足りねぇしそこのヤバいプリンかめ……じゃなかった、睨むなよ。えっと、セスティだっけ? そんなのが居たら俺自信なくしちゃうよ」 「そうじゃろう♪ セスティは強いのじゃ!」  なんでめりにゃんが誇らしげにしてるんだか。 「じゃあお前もライゴスのように俺の仲間になるか?」  その場合ぬいぐるみが増える事になるかもしれない。  それは……それはそれでちょっといいかも♪ 「いや、それも断る。出来ればもう魔王にもあんたにも関わりたくねぇよ。どこか山奥で隠居させてくれ」  そう言って肩を落としたライノラスは、なんだかしょんぼりとしていて、体がでかいくせにまるでよぼよぼのお爺さんのように見えた。 「これ絶対セスティの事トラウマになっとるぞ」  ……ごめん。

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この作品の評価

148pt

すごい。ポンコツ2人が頑張ってる(笑)

2019.03.20 01:14

月愛

1

めりにゃん可愛い…!

2019.03.19 06:21

御園

1

設定が斬新で面白いです! 姫がだんだん呪いで…っていうのが、文体が変わる事で分かるのいいですね。 応援してます!

2019.03.14 01:04

御園

1

設定がとても面白いです。 主役の姫が置かれている状況、こういうアイディアはちょっと見た事がないですね。 まだ途中ですが楽しく読ませてもらってます。頑張って下さい(`・ω・´)

2019.03.05 17:57

月愛

1

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